投稿日:2023年1月6日
相続「税」対策を考える上で、生計一の状態はベストな状態と言えます。
例えば、親子が生計一の場合、親のお金で生活できるので子は自身の稼ぎを貯蓄に回すことができ間接的な資産移転が可能になりますし、小規模宅地等の特例の適用も受けることができます。
しかし、この「生計一」の認定要件って意外と難しいんですよ。
国税庁の通達には、次のように書かれています。(下線は筆者)
所得税基本通達2-47(生計を一にするの意義)
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1)勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
分かりやすく言うと、
●同居していれば原則生計一(同居していても明らかに生計が別であれば生計別)
●同居していなくても単身赴任や仕送りを送金している場合は生計一
と言うことです。
つまり、生計一とは「財布が同じ」と言うことなんです。
時々
●買い物から食事の用意、風呂の準備、掃除、洗濯など親の家事全般を全て行っているのだから生計一だ
●親が超高齢になり介護の面倒を見るため最近一緒に暮らし始めたので生計一だ
●親がひもじい思いをしないよう毎月数万円の小遣いを渡しているから生計一だ
●住民票を実家に異動させたから同居である
と主張する人がいるのですが、生計一とは認められないでしょうね。
「生計一か否か」は事実認定ですから、こうすれば必ずこうなると言う法則はありませんが、認定の基準は「財布が一緒かどうか」ですので、そこはしっかり見られます。
気になった方は本件に詳しい税理士に相談して下さい。
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