投稿日:2023年8月30日
令和5年8月20(日)付の新聞・社説欄に『遺族年金の男女差は解消を』の記事がありました。
女性の就労、社会進出、賃金格差の是正、地位向上等、女性の社会進出を後押しすることに異論はありませんが、だとすれば、社会保障も男女平等にすべきです。
この記事を読み、改めて国の施策と実態の乖離について考えさせられました。
2014年に遺族基礎年金(国民年金)は男女差が解消され、18歳の3月31日までの子がいれば、親の性別に関係なく年金を受給することができるようになりました。
問題は遺族厚生年金(厚生年金)です。
現在の受給対象者は、以下の通りとなっています。
①夫が死亡した場合
妻は、子がいれば年齢に関係なく終身年金を受給することができる。子がいなくても30歳以上であれば終身年金を受給することができる。子がいない30歳未満の妻に限り5年間の有期年金となる。
②妻が死亡した場合
夫は、妻死亡時に55歳以上だった場合のみ遺族年金の受給権が発生する。しかも実際に年金が支給されるのは夫が60歳になってからである。子がいる場合、年齢に関係なく支給されるが、受給権を取得するのは子である。
これ、おかしくないですか???
知り合いに、妻がフルタイムで働き、40歳になる夫が家庭に入り子育て及び家事を担っている家庭があるのですが、もし妻が死亡した場合、夫には遺族厚生年金が支給されないんです。
制度創設時、「夫はサラリーマン、妻は専業主婦、子は2人」の「標準モデル」を用いて制度設計した名残ですが、64歳以下の既婚女性の7割強が働く世の中に変わったのですから、制度も実態に合わせ見直す必要があるのではないでしょうか。
社会保障の根幹である年金制度の男女差問題を棚上げし、「女性が働く世の中を」と言われても、男性にとっては「逆差別じゃないか!」となってしまいます。
なんかチグハグですよね。
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