投稿日:2023年11月6日
僕がまだ若手だった頃、勤務先の顧問税理士や顧問弁護士の先生から「質問の仕方」について指導を受けたことがあります。
今でもその時の教えは生きていて、税理士や弁護士の先生へ質問する際の心構えとして、肝に銘じ行動しています。
また、逆に質問を受ける立場となった今では、当時税理士や弁護士の先生が僕に指導してくれた教えの意味がより深く理解できるようになり、業務に役立っています。
今回は、当時僕が指導された質問する際の対応について書いてみたいと思います。
【1】まず「何について聞きたいのか、最初に主旨を言いなさい」と言われました。
「昔々ある所にドンブラコ~ドンブラコ~」はいいから、何について聞きたいのか、何について知りたいのかを先に言いなさいと言われました。
背景や状況を1から長々と全部説明する人がいますが、それでは何が聞きたいのかがよく分かりません。相談を受ける人も忙しい訳ですから、まず何について聞きたいのかを話し、その上で要点についてポイントを絞って説明しなければいけないと助言されました。
【2】また「自分なりに調べてから質問するように」とも言われました。
分からない、じゃあ先生に聞こう!ではいつまで経っても実力がつきません。何でもかんでも安易に聞くのではなく、まず自分で調べる、本を読む、その上で分からなかったら質問するの流れにしないと身につかないと助言されました。
【3】更に「自分なりの意見や考え方はどうなのかも整理しておくべき」と言われました。
「これについて、僕はこう思うのですが、果たしてその考え方で問題ないでしょうか?」と聞くことにより、より高いレベルでの質疑応答になると助言されました。
これらをまとめると、次のようになります。
まず、駄目な質問の仕方から。
「先生、僕のお客様で高齢の夫婦がいるのですが、お子さんがいなくて、会社を経営しています。保有財産は全部で3億円。そのうち自社株が1億円です。自宅は持ち家で、借金はありません。別荘もあります。夫の実家も資産家で、夫の父は医者だったそうです。妻に昨年癌が見つかり、幸い早期だったので何事もなく済みました。メインバンクが●●銀行で…」
ね、イライラするでしょ?(笑)何が聞きたいんだっつーの!
正しい質問の仕方。
「先生、子なし夫婦の遺言について、遺言執行者をつけるべきか否かについてご意見頂きたいのですが」
「どのような状況ですか?」と促されたら、
「会社を経営している資産家で…」と背景を説明し、
その上で「僕は相続させる遺言であれば執行者を指定する必要ないとは言え、今回のように高齢の場合は指定しておいた方が無難だろうと考えています。しかし、その際の注意点がもう一つ分からなくて…」と続けます。
士業の先生をはじめとする専門家と仲良くしたいのであれば、相手の立場を考え、気持ちよく付き合える関係を築けるよう、質問の仕方にも注意を払いましょう。
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