投稿日:2023年11月10日
以前相続開始後の処理について相談に乗ったところ、死亡する1週間前に現金1千万円が普通預金から引き出されていたことがありました。
お亡くなりになったのはご主人、享年65歳でした。癌のため闘病生活が続いており、余命宣告も受けていました。
相続人である奥様や子ども達は口をそろえて「お金を下ろした記憶はない」「全く身に覚えがない」と言います。嘘をついているようには思えません。「相続が近いから今の内にお金を下ろしておこう」と言う話しではなさそうです。
現実として相続開始時にお金がないのですから、相続開始日現在の残高を基に相続税を計算することになります。しかし、課税当局は死亡する1週間前に1千万円もの現金が引き出されているのですから、必ず名義預金或いはタンス預金を疑ってくるでしょう。
しかし、相続人は本当に知らないのです。実際に、通帳と印鑑、キャッシュカードは死亡する直前までご主人が病床で管理していたそうです。
申告期限が迫る中、子がご主人のスマホをいじったところ、ロックを解除することに成功しました。
そこで見たものは…愛人との生々しいやりとり、いかがわしい写真…見るに堪えない内容だったそうです。
それまで悲しみに暮れていた遺族は揃って「いい歳して恥ずかしい」「スケベジジイ」「バカオヤジ」のオンパレード。
LINEのやりとりから察するに、相続直前に引き出された1千万円はこの愛人へ渡っているとみて間違いなさそうです。
この場合、公序良俗に反する贈与は無効であるとか、不法行為による給付の返還を求めることはできない等法的にどう扱うべきかを判断することになるのですが、難しい話は置いておいて、結局これは愛人への贈与であるため相続税には関係なしとして手続きを進めました。
そして、どうせ後日税務署から聞かれるだろうからと、申告書に「●月●日、愛人へ現金1千万円贈与した」旨のメモを添付しました。
恐らくこの愛人はどこかのタイミングで税務調査を受け、贈与税の申告漏れを指摘され、「贈与税231万円+加算税+延滞税」を納めることになるでしょう。
飛び鳥跡を濁さず、お亡くなりになる前にスマホのデータはきれいに消去しておきましょう。(違うか!)
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