投稿日:2024年7月1日
令和6年5月31日(金)付の新聞に、『中小M&A手数料透明化~仲介事業者に開示求める~過剰な高額請求防ぐ』の記事がありました。
僕は「総論賛成、極論反対」の立場です。
だって、そもそも
M&A事業者って、携わるのに必要な資格制度がなく、報酬(手数料)も言い値だし、何といっても双方代理の典型ですから存在からしてグレーだと思っています。
今秋をめどに経産省が指針を見直し、手数料の開示を求めることになるとのことですが、これにより一定の悪徳高額請求事業者は排除できるかもしれませんが、別に報酬そのものが見直され安くなる訳じゃありません。
経産省は指針を遵守する事業者を「M&A支援機関」として登録する制度を設けており、手数料開示を守らない事業者は登録から外されるそうです。
しかし、外されても政府からの補助金が支給されないだけで、別にM&Aに携われなくなる訳ではないので、どこまで実効性を保てるのか…。
M&A事業者って、不動産の仲介業者と似てますよね。
①「やってなんぼ」の文化(顧客のために「高く売ろう」「安く買おう」よりも、成約することが全てにおいて優先される)
②物件や企業価値のに手数料率(%)を乗じた報酬体制(1億円の物件(会社)と10億円の物件(会社)でやることはほとんど変わらないのに手数料額が大きく異なる)
③過去に実績がある優良顧客を贔屓する(リピーターを優先し裏で情報を先に流す)
④既に顧客が存在しているかのような虚偽勧誘を行う(嘘の情報で顧客の気を引き、釣り上げる)
⑤利益相反(少しでも高く売りたい売主と、1円でも安く買いたい買主の両方を代理している)
中にはまっとうなビジネスを心掛けている優良な事業者もいますが、業界的には胡散臭い人が多い印象を持っています。
事業承継ブーム(事業承継バブル?)に乗り、専業事業者から証券会社や銀行、税理士、公認会計士、弁護士といった士業まで、ビジネスとしてのM&A参入が盛り上がっています。
大事な会社がお金儲けの食い物にされないよう、国による指針見直しは大歓迎ですが、その前に自分の身は自分で守らないとね。
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