投稿日:2024年9月3日
同族会社のオーナー等関係者に相続が発生した場合、「自社株の真の所有者は誰なのか?」を巡り問題となることがあります。
形式的には法人税申告書の別表2に記載されている株主名義人が所有者となりますが、果たしてそれを信じて手続きを進めてもいいでしょうか?
例えば、別表2に記載されている株主が法人設立当初から妻になっていたとしても、妻は専業主婦のため無収入で、その資金を全額夫が支払っていたら、真の株主は妻と夫どちらになりますか?
設立当時、夫が出資金相当額の現金を妻に贈与したのであれば「名義人=所有者」と考えていいでしょう。
しかし、夫から妻への現金贈与がなく、妻は法人設立後の株主総会に出席せず、配当も受け取っていない…、だったらいかがですか?
そうなんです、「株式の所有者が誰であるか」は、単に名義といった形式だけでなく、例えば、
①出資した経緯
②出資金の出捐(しゅつえん、資金負担のこと)者
③株主総会の議決権行使書類等の送付先
④議決権の行使状況
⑤配当金の受取者
⑥自社株を売却した際や配当を受領した際の申告状況
等を総合的に勘案した上で、「真の所有者が誰なのか」が判断されるのです。
このことを事実認定といいます。
平成2年に商法が改正されるまでは、株式会社を設立するためには発起人が7名必要でした。
そのため、身内だけでは頭数が足りず、親戚や友人、顧問税理士等から名義を借りて設立する例がたくさんありました。
間違った状態で申告してしまうと、後々課税当局と相続財産を巡りトラブルとなってしまう可能性があります。
古い会社の相談に乗る場合は特に注意しましょう。
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