投稿日:2024年9月2日
令和6年8月29日(木)付の新聞に、『不動産の囲い込み 処分の対象に~仲介業者、他社に紹介せず~国交省 透明性向上狙う』の記事がありました。
「囲い込み」は昔から業界にはびこる悪しき慣習の一つであり、その是正に国が乗り出すそうですが、果たして効果は…?
「囲い込み」とは、売却依頼のあった物件を他社に紹介せず、自社で囲い込むことにより、売主と買主双方から仲介手数料を取る行為を指します。
せっかく掴んだ売り物件でも、他社が買主を見つけてしまうと、売主側の仲介会社は約3%しか仲介手数料をもらえません。しかし、自社で買主を見つけることができれば、仲介会社は売主と買主それぞれから約3%ずつ、合計約6%も仲介手数料をもらうことができます。
物件の売却依頼を受けた不動産業者は、指定流通機構である「レインズ」にその情報を登録しなければいけません。登録期日は、専属専任媒介契約の場合は5日以内、専任媒介契約の場合は7日以内となっています。
レインズに登録した業者は、取引状況について「公開中」「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つの中から1つを選んで公表しなければいけません。
なので、「登録までの5日(7日)間が勝負」と空白の5日(7日)間に全力を傾ける業者もいますし、媒介契約の日付を先日付にし登録を先送りする業者もいます。
最もポピュラーな囲い込みは、購入申し込みがないにもかかわらずレインズに「書面による購入申し込みあり」と嘘の情報を登録し、他社が活動しないように制限をかける方法です。
囲い込みされてしまうと情報が拡散されませんから、実際に購入したいと希望する客がいても交渉に至らず売却が遅れてしまいます。また、高値での購入を希望する客がいても自社の客を優先するため成約価格が低くなってしまう場合もあります。
どちらも依頼主(売主)の利益を損なう行為ですから大問題と言わざるを得ません。
そのため、国交省は、レインズへの登録内容に虚偽があることが判明した場合、宅建業法上処分する方針を固め、来年1月の施行に向けて準備するそうです。
しかし、一般媒介契約にはレインズへの登録義務がありませんので、とりあえず一般媒介にしておき登録義務を逃れた上で活動する業者も多くいます。
ですので、いくら国交省がレインズにおける虚偽情報に目を光らせても効果のほどは…。
やならいよりはマシ程度かなあと思っています。
そもそも売主と買主両方から依頼を受ける行為は双方代理ですから、双方代理禁止にすればいいのに。1円でも高く売りたい売主と、1円でも安く買いたい買主を同じ仲介業者が担当するって意味が分かりません。
片手オンリー(売主か買主どちらか一方のみ)にすれば一気に問題が解決すると思うのですが…。
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