投稿日:2024年12月30日
12月19日(木)、国税庁より「令和5年分における相続税の申告実績の概要」が公表されました。
それによると、
①相続税の課税割合は9.9%(相続税の申告書155,740件÷死亡者数1,576,016人≒9.9%)と、過去最高を更新
②相続税の課税価格の総額は21兆6335億円と、昭和42年以降で過去最高を更新
③相続財産の内訳は、有価証券、現金・預貯金、金地金等すべての項目で増加し過去10年で最高
の結果となっています。
地価や株価の上昇を受け、課税割合が10%を超えるのではないかと思っていましたが、ギリギリ1桁に留まりました。
この中で気になったのは、相続財産に占める有価証券の比率が増加傾向にあること。
貯蓄から投資の流れなのか、NISAやiDeCoの拡大なのか、法人設立が容易になった影響なのか、その原因は色々だと思いますが、現金・預貯金の伸びに比べ、時代を感じます。
また、法人版事業承継税制(いわゆる非上場株式に係る納税猶予制度)の件数の少なさも気になりました
相続税の納税猶予制度の適用を受けた件数を見ると、一般措置(平成21年度税制改正で創設された当初版)は35件、特例措置(平成30年度税制改正で創設された10年間の時限措置)も453件しかありません。
中小法人の数と比較したら、ほぼ誰も使っていない制度であることが分かります。
併せて「令和5年事務年度における相続税の調査等の状況」も公表されました。
文書や電話、来署依頼による面接といった「簡易な接触」による調査の件数も過去最高を更新してます。
相続税の課税件数が増加しているのに対し、税務署職員の人手が不足しているといった背景を補完する施策として拡充されてきた「簡易な接触」ですが、日本人の気質的にお尋ねが来たら真面目に答えてくれる文化があるのでとても調査効率が良いそうです。
相続税の課税割合が過去最高を更新したといっても、所詮10人に1人しか相続税は払いませんから、「相続税」に携わる人と「相続そのもの」に携わる人では母集団の数、マーケットのサイズが大きく違います。
ビジネスとして相続に携わる方は、どこに的を絞って活動するのかの判断が重要ですね。
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