ブログ「相続の現場から」

相続実務ワンポイント『所有不動産記録証明制度』

投稿日:2026年10月4日

令和8年2月2日から、法務局が把握している全国の不動産情報に関する証明書を交付してくれる『所有不動産記録証明制度』が開始しています。

 

この制度により、相続手続きにおいて相続人らの負担となっている「被相続人が所有している不動産の調査」が少し緩和されるのでは…と期待されています。

 

今回は、本制度の概要と注意点について解説します。

 

 

従来、被相続人の不動産を調査する場合、被相続人が不動産を所有していると思われる自治体へ「固定資産税の名寄帳」を請求していました。

 

1つの市区町村にしか不動産を所有していないのであれば請求は1回で済むのですが、3か所の市区町村に不動産を所有している場合それぞれの市区町村毎に請求しなければならず、しかも市区町村が全国に散らばっている場合もあり、調査する相続人にとって重い負担となっていました。

 

『所有不動産記録証明制度』がスタートしたことで、被相続人が全国の市区町村に複数の不動産を所有していたとしても、原則として1回の請求だけでその明細(所有不動産記録証明書)を取得することができるようになったのです。

 

具体的な手続きの概要は次の通り。

①請求できるの人…所有者本人、所有者が死亡している場合は相続人等、委任を受けた代理人も請求可能。

②請求先…法務局(窓口の他、郵送やオンラインでも請求できます)

③登記官の検索方法…「氏名又は名称の前方一致」かつ「住所の市区町村が一致」、或いは「氏名又は名称の前方一致」かつ「住所の末尾5文字が一致」

④費用…1件あたり書面請求1,600円、オンライン申請(郵送交付)1,500円、オンライン申請(窓口交付)1,470円

 

注意しなければいけないのは「所有不動産記録証明書」は所有権の登記ベースで交付されるということ。

 

例えば、

●以前は建物の登記が義務じゃなかったため建物が未登記となっている

●表示登記しか行われていない(所有権の登記が行われていない)

●旧所有者から名義変更(所有権移転登記)が行われていない

等の不動産は「所有不動産記録証明書」に記載されないんです。

 

令和8年4月1日に「住所・氏名変更登記の義務化」がスタートしています。

 

所有者等が変わったのに正当な理由なく登記を怠ると過料(5万円以下)が科されてしまうため、従来に比べれば「きちんと登記しよう」と行動する人が増え、時間とともに登記の公信性が増していくことになると思いますが、過料が科されるのは変更が生じてから2年以内に登記しない場合ですから、常にオンタイムで登記情報が更新される訳ではありません。

 

タイムラグがありますので、『所有不動産記録証明制度』だけを信じるのではなく、その他の方法と併せ調査の精度を上げていく必要があります。

 

僕は今まで同様各自治体へ「固定資産税の名寄帳」を請求すると同時に、遺族から話を聞き、現場を確認し、色々な角度から漏れが生じないよう調査していきます。

 

法務局へ請求する「所有不動産記録証明書」はあくまで調査の補完と位置付けています。

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