投稿日:2020年7月6日
いよいよ、7月10日(金)に<民法(相続法)改正>の大トリ、「法務局による自筆証書遺言書の保管制度」が始まります。
この制度を利用することにより、自筆証書遺言書の紛失や偽造・変造等のリスクから解放されますので、基本的にはウエルカムです。
が、気になる点がいくつかあります。
良く言われていることは、「遺言内容についてのチェックは入らないので、専門家に相談せず作成した遺言は危険」ですが、僕が気になったのは別の話し。
遺言者が死亡した後、相続人等(相続人や受遺者・遺言執行者等)は法務局に対し次のことを請求することができます。
①「遺言書保管事実証明書」の交付請求
②「遺言書情報証明書」の交付請求
③遺言書の閲覧請求
①の請求により遺言書が保管されていなかった場合はそこで終わりですが、保管されていた場合は②又は③へ進みます。
注意しなければいけないのはここです!
法務局の遺言書保管官は、相続人等から②遺言書保管事実証明書の交付請求を受けた場合、又は③遺言書の閲覧請求を受けた場合、請求者以外の相続人等へ遺言書を保管している旨を通知してしまうのです。
つまり、誰かが動くと、他の相続人へ自動的に通知が行き、遺言書の存在が公になってしまうのです。
遺留分侵害請求権の行使は、「知ってから1年」「(知らなくても)相続開始の時から10年」で時効により消滅します。(10年は除斥期間であり、消滅時効ではないため中断はありません)
つまり、遺言書保管官による親切(言い方を変えると、余計なおせっかい…ゴメンナサイ)により、寝た子を起こすことになりかねないのです。
法務局に自筆証書遺言書を保管してもらわない場合、相続人等は家庭裁判所による検認手続きを申し立てる必要があるのですが、検認を申し立てると、家庭裁判所から他の相続人等へ「検認期日通知書」が届きますので、これと同じですね。
僕はこのことを「争族のキックオフ」と呼んでいます。
で、どうすればいいか…そこですよ!コンサルタントの腕の見せ処は!
詳しくは法務省のホームページに分かり易く記載されていますので、興味がある方はそちらをご覧ください。
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