投稿日:2023年11月6日
所有者不明土地問題の解消に向け令和3年に改正された不動産登記法のうち、唯一具体的な施行日が決まっていなかった『住所等の変更登記の義務化』について、施行日が令和8年4月1日に決まりました。
今回は『住所等の変更登記の義務化』について解説したいと思います。
現在、不動産所有者の住所や氏名に変更があっても、登記情報の変更登記は所有者の任意であるため、登記費用や手続き負担を嫌い変更登記しないまま放置している方がたくさんいます。
そのため、登記事項証明書(旧登記簿謄本)を見ても、そこ記載されている所有者の住所が正しいのか分からず、そもそもその所有者が真の所有者かどうかも分からない状態になっています。
改正後は、個人・法人を問わず、登記上の住所や氏名(名称)に変更があった場合、2年以内に変更登記を申請しなければならず(義務)、正当な理由なくこれを怠った場合、5万円以下の過料が科せされることになります。
法施行日(令和8年4月1日)前に住所等の変更があった場合も義務化の対象ですので、2年以内に申請しないといけません。
また、法務局の登記官が取得した情報を基に職権で変更登記する仕組みも始まります。
所有者が個人の場合は、法務局が住民基本台帳ネットワークシステムに照会し、変更を把握した場合は所有者に意思確認を行った上で、本人の了解を得て職権で登記します。
これに対し、所有者が法人の場合は、法務省の商業・法人登記システムと不動産登記システムを連携させ、変更を把握した場合、法人の意思を確認することなく自動的に職権で登記しますのでご注意ください。
個人・法人ともに、法務局により職権登記された場合は変更登記義務を果たしたとみなされるのですが、費用がいくらかかるのか、そもそも費用を請求されるのか、過料の対象となるのか等は明らかにされていません。
「まだ2年以上ある」と思って先送りしても特にいいことはありませんから、気付いた時に早目に手続きしておいた方が無難だと思います。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE