投稿日:2024年7月8日
令和6年7月1日(月)、国税庁より令和6年分の路線価が発表されました。
新聞やTV、ネットニュース等で既にご存知の方も多いと思いますが、ほぼ「上昇」です。
今回は、路線価が上昇することで誰が得するのか、どのような影響があるのか、何に注意しなければいけないのか等について考えてみたいと思います。
新聞記事はこちら
『路線価29都道府県で上昇~訪日客・再開発押し上げ~伸び率2.3%、2010年以降で最高』
『都内路線価5.3%上昇~24年、3年連続プラス~浅草、訪日客増押し上げ』
『路線価、3年連続上昇~24年分2.3%~コロナ禍から回復鮮明』
今回の路線価上昇のキーワードは、「インバウンド」「再開発」「マンション用地」です。
訪日客に人気の「沖縄」「長野県白馬村」「大阪ミナミ」「東京浅草」、駅周辺の開発が進む「福岡博多の天神地区」、半導体工場の誘致に成功した「熊本県菊陽町」、マンション需要が底堅い「首都圏近郊」あたりは軒並みドカンと上昇しています。
一方、前述の要因に乏しい地方や郊外は相変わらず下落が止まりません。
「地価の二極化」と言われて久しいですが、その差は年々開いています。
ところで、路線価が上昇した」ということは、イコール「地価が上昇した」ということです。
地価が上昇すると得する人は、
●土地を売りたい人
●固定資産税等が増える地方自治体
●相続税が増える国
●不動産を担保にお金を借りる人(担保価値の上昇により借入額増)
●不動産売買に成功した不動産仲介業者(仲介手数料がUP)
等が考えられます。
一方、地価の上昇により損する人は、
●土地を買いたい人
●土地を持っている人(固定資産税等の負担増)
●相続税がかかる人(地主、資産家等)
等が考えられます。
土地の売買は一生にうちそう何度もある話ではありませんので、地価が上昇しその恩恵にあずかる人は少ないと思います。
また、地価の上昇と同時に資材も高騰を続けていますので、マンションや戸建て住宅等全ての不動産の価格が上がっています。
そのため、「買いたくても高くて買えない」→不動産売買が低迷する→不動産業者に仲介手数料が入らない、銀行で住宅ローンを借りる人が減る、デベロッパーやハウスメーカー等の建築会社が暇になる、下請けにその余波がいく…と、景気に悪影響を及ぼす懸念もあります。
その他、法人が土地を保有していた場合、資産である土地価額の上昇により自社株の評価額が上昇しますので、自社株の贈与を検討していたり、自社株を有する人に相続が発生した場合、多額の税負担が生じる可能性も考えられます。
こう考えると、地価の上昇はあまりいい話ではないような気がします。
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