投稿日:2014年9月2日
本日の新聞に『山林の荒廃 どう防ぐ』の記事がありました。
所有者が分からない森林は、2020年までに7万㌶、30年までに17.5万㌶、40年までに31.2万㌶、50年までに47万㌶と急増する見通しとのこと。
所有者が分からないと、間伐が出来ず、立木の育成に悪影響を及ぼし、森の保水力が弱まり、林道整備や林業の集約も進まず、良いことは何もありません。
相続財産に原野や山林が含まれていることは珍しくありません。バブル期に投機し失敗した、就職のため地方から都市へ出てきたが田舎に戻るつもりはない、そもそも先祖代々境界が曖昧な山林・田畑を承継し続けている…等々。
原野や山林は、利用価値乏しく、自分で使う予定もなく、資産価値もなく、売りたくても売れず、行政も引き取ってくれず…相続人にとっては「負の財産」でしかありません。
それでも遺産には違いありませんから、相続財産として申告する必要があります。
そもそも評価額30万円未満の土地には固定資産税が課税されませんから、被相続人に「この土地が財産である」の意識は薄く、また、相続人が「被相続人がその土地を持っていた」ことを知らないことも多く、遺産から漏れるケースが散見されています。
相続が発生しても、所有権移転登記(相続登記)を必ず行わなければいけないと言う法律はありませんが、相続登記しないと良いことがある訳でもありません。相続登記に関わる登録免許税や登記費用等がかからない程度でしょう。しかし、「いつか」、「誰か」が、ババを引く可能性があります。その「誰か」は孫かもしれませんし、玄孫かもしれません。
一番手っ取り早い解決は誰かに引き取ってもらうことでしょう。売れるに越したことはありませんが、現実的にお金を払ってまで原野や山林を購入してくれる人は皆無です。地元に残った本家や地域振興の団体であれば多少お金を払ってくれるかもしれませんが…。
先日も地方の原野を相続した方の相談に乗りました。登記済権利証はあるものの、「一度も見たことがなく、調べたがその土地がどこにあるのか分からなかった」とのこと。「固定資産税がかかっていないからこのまま放置」の話しも出ましたが、不法投棄、管理責任、問題を子や孫に残す罪悪感等、「放置しておいても良いことは何もない」と手放す方法を模索することになりました。しかし、お金を出して購入してくれる人は一人も見つからず、結局、価値のある別物件と抱き合わせ(バルクセール)、かつ売主が移転費用等を負担することで業者に引き取ってもらいました。
今後、地方の人口減少と相まって、このような相談が増えるのでしょうね。
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