ブログ「相続の現場から」

新設住宅着工と空き家について考える

投稿日:2015年8月12日

お盆に入り、道も電車も都内も空いてていいですね。

お盆に限らず、GWや年末年始は仕事するに限ります。

電話も来客も少ないですし、腰を落ち着け、仕事がはかどります。

 

さて、通勤途中にバスの中からぼんやり街を眺めていて、「随分(マンション工事の)クレーンが増えたな」と感じます。

自宅の並びにある長いこと駐車場だった土地150坪にも、地元の有名なパワービルダーが戸建て4棟を建築中です。

 

先日発表された野村総研のレポートによれば、「2033年の空き家数は約2,150万戸、空き家率は30.2%に上昇する」そうです。

 

日本の総世帯数は2020年の5,305万世帯をピークに、2025年には5,244万世帯に減り、その後も減り続けると見込まれています。

その間、人口もどんどん減り続けますので、世帯数や人口減に応じて総住宅数も減らしていく必要があります

にも関わらず、平成26年度の住宅着工戸数は約88万戸もあり、2030年度までに新設住宅着工戸数は約53万戸に減少すると見込まれているものの、このままいくと2033年の総住宅数は約7,100万戸へと増大すると予想されています。

新設住宅着工戸数の減少を上回るスピードで世帯数が減少していくため、「空き家が増え続ける」ことになるのです。

つまり、既存住宅の除却や解体、住宅用途以外への有効活用等が進まなければ、「空き家だらけになる」ということです。

 

明らかに日本は「住宅を造り過ぎ」ています。

 

OECD加盟国のほとんどは「住宅総量目安」や「住宅供給目標」といった指標を持っています。

世帯数の現状と将来を予想し、税制や金融をコントロールしながら住宅着工を調整しているのです。

 

日本にはこのような目安は一切ありません。

景気の浮揚策として、昔から過剰な新築住宅促進施策が取り続けられています。

確かに、景気刺激の三点セットは「土地」「建物」「自動車」ですから、景気浮揚としては間違っていないと思いますが、その代償は近い将来必ずやってくるでしょう。

国もそんなことは分かっているはずですが、消費税増税10%を控え、こける訳にはいかないアベノミクス、物価上昇2%等もあり、新築住宅促進の手綱を緩める気はないようです。

 

バブル期に比べその割合が少なくなったとは言え、今でも遺産の半分は「不動産」です。

相続対策の真ん中に「不動産」があることに、異論を挟む人は少ないでしょう。

 

今後の世帯減、人口減を考えた場合、「どこに」「何を」「どのような形で」「誰が」「どうやって」持つのか・持たないのか将来を見通したプロの力量が問われる時代になりました。

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