投稿日:2015年11月2日
「不動産を相続したら所有権移転登記(相続登記)しなければいけない」と思っている人、多いと思いますが、実は相続登記は必須ではありません。
その証拠に、郊外を中心とした田畑や山林、遊休地等は、先代、先々代、先々々代名義のままになっている土地がゴロゴロあります。
固定資産税は、その年の1月1日現在における所有者へ課税する仕組みですから、名義人が死亡していようが、行方不明になっていようが、役所としては、名義の如何に関わらず、誰かが固定資産税等を支払ってくれれば、それでOKなんです。
ですから、相続登記に係る諸費用(登録免許税、司法書士手数料等)を嫌がり、また、手続きの面倒を避け、名義変更されずに放置されている土地が沢山あるんです。
では、相続に係る所有権移転登記(相続登記)せずに時代が流れてしまった場合、将来どのような問題が生じるでしょうか。
①相続が発生しても、遺産が確定しない
②遺産が確定しないため、遺産分割協議が進まない
③相続税申告期限内に遺産分割協議が成立しないため、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の評価減」の適用を受けられない
④そもそも、遺産が確定しないため、相続税がかかるのか否か、判断が難しい
⑤遺産が確定しないため、相続税の申告書が曖昧な内容になる
⑥誰がその土地の固定資産税を負担し、管理していくのか、決まらない
⑦その土地を売却しようと思っても、売主が誰か、決めるのが大変
⑧その土地に建物を建築しようと思っても、所有者が誰か決まっていないので建築確認が取れない
⑨不法投棄等があっても、誰が処理・対応するのか、関係者で押し付け合いになる
以上の通り、相続登記は必須ではありませんが、名義変更を先送りしても良いことはありません。
(所有権移転登記に係る諸経費が先送りされるだけです。)
リスクの方が大きいでしょう。
「事(こと)が起こり、あわてて相続登記しようと思ったら、関係者が全国各地に数十名もいて、諦めた」なんて話も聞きます。
そうならないよう、遺産分割が成立したら、その時に相続登記も行っておきましょう。
遺産分割と言う大作業を乗り越えた安堵感で相続人が<ホっ>としてしまうのは仕方ありませんが、相続に携わるプロが関与している事案であれば、相続登記完了までしっかりサポートしないといけませんね。
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