投稿日:2015年12月28日
国税庁が10月下旬に「行き過ぎたタワーマンション(タワマン)節税を抑制すべく監視を強化する」旨の記者発表を行って以来、各方面でこの話題が取り上げられましたが、結局『平成28年度衛税制改正大綱』では何も触れられませんでしたね。
最近はこの話題も少し下火になったようですが。
本件について、(資産税に強い)税理士の方のブログ等では正しい説明がなされていますが、そもそも論を理解していない方のブログ等では間違った説明もあるようです。
今回は、「タワマン節税の何が問題で、どうしたら(何をしたら)怒られるのか」について書いてみたいと思います。
相続財産の評価は、相続税法第22条で「時価」と定められています。
そして、国税庁が「財産基本通達」により「時価の意義」「評価の方式(路線価等)」を定めています。
国税庁が問題視しているのは、「行き過ぎた節税」についてです。
「節税」は悪いことではありません。
「脱税」や「租税回避行為」は悪いことです。
「行き過ぎた節税」は限りなく(と言うか「ほぼ」)「脱税」や「租税回避行為」と同義語で、「税金の減少だけを目的として行われた不当な行為がある場合は厳しく対応します」と言うのが国税庁の発言です。
タワマンの評価が時価と比較して大幅に低い(乖離している)ことが問題なのではありません。
計算が間違っている(おかしい)と言うのなら、計算方法(評価方法)を法律なり通達なり、国税庁自ら改正すればいいのです。
「相続対策」「アジア圏の爆買い」等、理由はともかく、タワマンの価格が急上昇している事実は我々ではどうしようもありません。
相続発生時の評価は、国税庁が定めたルールに則って評価するだけです。
「本当にタワマンに住みたくて、ようやく念願のタワマンを購入することが出来、夫婦で仲良くタワマンで暮らし、数年後に夫が死亡したため妻がそのタワマンを相続し、引き続き妻が暮らしている。」
この場合、タワマン購入が1億円、相続評価が2千万円であっても、誰か何か悪いことしていますか?
誰にも怒られることないと思います。
では、「超高齢な親に無理してタワマンを購入してもらい、親が生きているうちはタワマンを誰も使用せず、賃貸にも出さず、持っているだけにしておき、親が死亡したらとっとと売却し現金化してしまう。」
これは素直に「そうだね」と言えませんよね。
ようするに、後者の例は、相続時における財産評価を低くすることだけを目的とし、一次的に財産の形を<現金→タワマン>と化体させただけであり、そこには「税金を安くする」という目的以外何もないから問題なんです。
(「ルール通りに評価した結果、評価が低くなっただけなのに…」という気持ちも分からないではないですが…。)
その行動に経済合理性や、納得できる説明や目的があれば何等問題ありません。
不動産会社、銀行、税理士法人等がこぞって「タワマン節税最高!」とやり過ぎましたね。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE