ブログ「相続の現場から」

『君島家の争族』親父にはちゃんとしといて欲しかった…

投稿日:2015年12月14日

平成27年12月13日(日)、フジテレビ系列のテレビ番組で、18年前に世間を騒がせた『君島家の争族』が取り上げられました。

何と18年振りに内縁の子(明氏)が電話で番組に出演し当時について語るという、相続マニア垂涎の企画。

 

まずは、当時の争族事案を振り返ってみましょう。

デザイナー兼経営者の君島一郎氏が1996年に急死し、遺言で後継者に内縁の子(婚外子・二男)である明氏が指定された。

明氏の妻は女優の吉川十和子氏。

KIMIJIMAブランドは<一郎氏と妻由希子氏で立ち上げたブランド>である

一郎氏の葬儀の喪主は妻由希子氏葬儀を取り仕切ったのは長男立洋氏であり、明氏は来賓扱いであった。

当然、妻由希子氏&長男立洋氏VS二男明氏>争族に発展し、連日メディアで報じら、街は大騒ぎ。

その後、KIMIJIMAブランドは凋落し、見る影もなくなってしまいました。

 

本日の番組には、長男立洋氏がスタジオに来ていて、だけど何もしゃべらず、スタジオの隅に立ったまま(何しに来たの?と突っ込みたくなるのは皆同じ)。

最初に会社の副社長に就任したのは長男立洋氏だそうです。

しかし、社内に愛人が君臨していたため、「なんじゃこりゃ???」と早々に撤退したんだとか。

 

番組の中で、過去2回しか話したことがないという異母兄弟の意見が全く同じだったのは、「父一郎氏のことをどう思っているか?」という質問に対する回答。

 

二人揃って「尊敬している」だそうです。

 

恐らく、「父・肉親として」ではなく、「事業家・経営者として」でしょうね。

つまり、デザイナーや経営者としては尊敬すべき凄い人だったのでしょうが、人としては駄目ですからね。

だって、結果が全てを物語っています。

浮気して、愛人に子を産ませ、その愛人に社内で地位を与え、後継者指名の背景を明確にせず愛人の子に会社を継がせ…無茶苦茶ですよ。

まったく褒められる振る舞いではありません。

 

番組の中で、二男明氏が「ちゃんとしといて欲しかった」と言っていました。

その通り!

過去には戻れないのですから、せめて一郎氏は将来に向けてきちんとしておくべきだったんです。

ですけど、一代で築いたカリスマ経営者には聞く耳持っていない人が多いですから、なかなか難しかったのかもしれませんね。

 

相続の実務家として学ぶべきことが多い事案ですが、皆さんにも理解して頂きたいのは、

「遺言があっても揉め事はなくならない」

「生前にどんな対策を講じていても、揉める相続は揉める」

と言うことです。

 

だって、自分の思い通りにならない相続人や、欲しかった財産がもらえなかった相続人が、きちんと遺言があったからって「そうだよね」ってニコニコしますか?

元々仲が悪かった相続人が、遺言があったからって仲良しになりますか?

 

なる訳ないじゃないですか。

どんなことをしても、揉める時は揉めますし、揉めるだろうなと思っていると、大抵その通りになります。

それが相続の現場です。

 

ですから、揉めても手続きが進むように税効果が得られるように争った時に勝てるように準備するのが<実務のプロ>です。

精神論だけでは乗り切れません。

 

もし再放送があったら、この番組、要ウォッチですぞ!

 

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