ブログ「相続の現場から」

『中古住宅取引 透明に』から考える双方代理

投稿日:2015年12月24日

平成27年12月21日(月)付の新聞に『中古取引 透明に』の記事がありました。

 

<中古住宅市場の活性化><取引の透明性を高める>ため、取引を行う不動産業者向けのシステムで、物件所在地や価格といった従来から登録を義務付けられている情報に加え、

「公開(募集)中」

「購入申込みあり」

「紹介を停止中」

等の表示を求めるそうです。

 

ようするに、業者による“物件の囲い込み”を防ぐことが一番の目的ですね。

 

少し前、「週刊ダ〇〇〇〇ド」に大手仲介業者による“物件の囲い込み”(*)記事が出ました。

*売却の依頼を受けた仲介業者が、売却物件をシステムに登録しておきながら、「両手取引」(売主と買主の両方から仲介手数料を取ること)を目論見、別の業者から問い合わせがあっても「商談中」等嘘をついて取引を拒むこと。

昔から問題点が指摘されていた不動産売買の慣行に、遂にメスが入ったと言う所でしょうか。

 

仲介業者の気持ちは分かります。

「片手」よりも「両手」の方が手数料が倍ですから美味しいですし、登場人物が少ないので案件をコントロール出来る可能性が高まります

また、ある程度のベテランだったら、自分の思う通りのプランで最高の結果に導くことも容易でしょう。

 

不動産売買では「双方代理」が認められています。

買主の代理人は「1円でも安く購入したい」買主の期待に応えることが使命であり、反対に、売主の代理人は「1円でも高く売却できるよう」努力するのが使命です。

完全に利益相反する関係なのに、仲介業者にはずっと「双方代理」が認められています。

 

「双方代理」にもメリットはあります。

例えば、間に入っている仲介業者が1社であれば、売主と買主の意見をすり合わせるのが早いですし、伝言ゲームになりません

また、条件交渉がスムーズになり、早期に契約に至る可能性もあります

 

しかし、「やってなんぼ」の世界である不動産業界では、「高い」とか「安い」よりも、「成約(契約)できるかどうか」を一番大事にします。

つまり、<落とし処を上手く見つけられるかどうか>の“結果”が常に求められています。

 

そもそも「買主」と「売主」は相反する間柄なんですから、売買を依頼した人が「自分の頼んだ仲介業者が自分のことだけを考えてくれない」と知ったら、おかしいと思うはずなんですが…。

 

ところで、相続で一番大変なのは「争族(遺産分割で揉めている)」です。

長くなってしまいましたので、「相続」「双方代理」については、次回にします。

 

20151221_065536

メールアドレスを登録

相続実務研修吉澤塾

  • 半年コース

1日コース

  • 一日集中講座
  • 事業承継一日講座
  • 民法改正一日講座

お客様・参加者の声

ブログ「相続の現場から」

相続診断協会

pagetop