ブログ「相続の現場から」

相続の現場から「悲しい出来事」

投稿日:2016年2月10日

昔親しくしていた方から「大至急相談したい」と電話がありました。

電話口の向うから、疲れたような、呆れたような、絶望にも近い雰囲気が感じられます。

直感的に「急がないといけない」と感じました。

 

電話を下さった奥様とお会いするのは数年振り。

お話を伺うと、夫の容体が相当悪いらしく、医者から「これ以上の治療は無理」と言われたため、夫の意向を踏まえ、今後は自宅で夫と過ごすことにしたそうです。

夫はもうすぐ90歳ですので、家族もある程度覚悟されています。

 

今回の相談は、<夫に万が一が発生した時の対応>についてでした。

遺言書はあるものの、後妻の立場で親族の間を立ち回るのは何かと気苦労が多く、「側面支援が欲しい」との依頼でした。

もちろん、全力で守ります、フルサポートします。

 

奥様から「見て下さい」と出された財産明細の中に、見たことがない生命保険証券がありました。

昨年末に契約した新しい生命保険契約だそうです。

加入経緯を伺った所、昨年末に銀行の満期があり、その銀行の担当者が、突然上席と一緒にわざわざ施設まで来たそうです。

施設には弱って寝たきりの夫が一人。

そして、家族の同意もなく、その場で満期金を原資に数千万円の生命保険契約が成立してしまったそうです。

 

夕方施設に顔を出した奥様がその契約を見つけ銀行に文句を言ったそうですが「10年経てば元本確保ですから」と押し切られたそうです。

90歳近い高齢者、しかも施設入所中です。

10年先を考えた運用が必要でしょうか。

本気で家族が喜ぶと思ったのでしょうか。

 

その生保は外貨建て、とても90歳近い高齢者が取り組む商品とは思えません。

夫が商品内容を理解できる状態になかったことは、誰の目にも明らかです。

調べてみた所、その銀行で取り扱っている保険商品の中で一番手数料の高い商品でした。

 

奥様から「銀行はお客様のためを思ってくれる会社じゃないんですね、信じていた私が馬鹿でした」と言われました。

・・・悔しかったです。

 

恐らく、この銀行は相続発生と同時に“出禁”になるでしょう。

 

信頼を得るには時間がかかります。

しかし、信頼を失うのはほんの一瞬です。

 

<人としてどうか>に照らし合わせ、大事なお客様を守っていこうと誓いました。

 

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