投稿日:2016年3月9日
国税庁が見直しにやっきになっている「タワマン節税」ですが、その改正策には色々なハードルがあり過ぎて難航しているようです。
今回は、固定資産税評価額を見直す方向のようですが、固定資産税評価額は総務大臣が告示する「固定資産評価基準」に基づき算定され、建物については「再建築価格方式」、いわゆる「再調達原価方式」が採用されています。
つまり、「建築費」をベースに評価が行われています。
そこにはマンションの「階数」は考慮されません。
マンション各部屋の天井高、付帯設備の状況等に著しい差があれば、各部屋の税額を調整する規定はありますので、そこに「階数」を加味することは理論上可能かもしれませんが…。
そもそも、「絶対に高層階の方が価格が高い」と言い切っていいのでしょうか。
震災の後は低層階に人気が出ましたし、中庭に面した中層階の人気が高いマンションもあります。
タワマンの命は眺望ですので、北側に東京タワーが良く見えるのであれば、南向きより北向きの方が高額で取引されます。
階数や面積、間取りが同じでも、角部屋かどうかで価格も違います。
「超高層建築物」と呼ばれる、建築基準法における高さ60m超の建物には、より厳しい構造耐力が求められます。
そこで、「60m(大体20階位)超の部分は別の評価基準を適用させる」となった場合、「19階の方がお得」と、19階と20階で市場価値が逆転してしまう可能性もあります。
国税庁が見直しにやっきになっている事情はよく分かります。
時価1億円のタワマンが、物件によっては10百万円近くまで相続税評価が下がる場合があるのですから。
固定資産税は相続税のように一時にかかる税金ではなく、継続的にかかる税金です。
ですから、見直すとしても、相当慎重に検討しないと、将来とんでもないことになってしまう可能性もあります。
固定資産税評価の見直しを行うのか、
固定資産税評価の見直しを諦め、国税庁が通達改正によりメスを入れるのか、
今回は諦め、見直さないのか、
果たしてどうなるのか、気になりますね。
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