投稿日:2016年7月25日
法務大臣の諮問機関である法制審議会が6月21日にまとめた「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案(案)」について、実務家目線で斬っていくシリーズ。
今回は⑦『相続人以外の者における相続人への金銭の支払請求権』
<A案>
「二親等内の親族で相続人でない者は、被相続人の事業に関する労務提供、療養看護等により被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした場合、相続開始後に、相続人に対して、金銭の支払いを請求することができるものとする」
<B案>
「被相続人に無償で療養看護その他の労務の提供をし、被相続人の財産の維持や増加に特別の寄与をした者(相続人を除く)は、相続開始後、相続人に対して、金銭の支払を請求することができるものとする」
*A案及びB案共に、
・請求者と相続人の協議が整わない場合、家庭裁判所が金銭の額を定める
・各相続人は法定相続分に応じてその責任を負う
・請求権は相続開始を知った時から一定期間(例えば6か月間)で時効により消滅する
要するに、「相続人以外の人にも<寄与分>を認めてあげましょう」という制度です。
実際に親の介護を行っているのは長男の妻だったりしますが、相続人ではない者(妻)には<寄与分>はありません。
しかし、(案)をそのまま読むと、義理の父の面倒を見た妻は、義父が死亡した場合、長男たる夫へ「私がお義父さんの介護したんだから、それに見合うお金頂戴」と請求すると言うことですよね。
・妻が夫から500万円もらった場合、妻は相続税を払うのでしょうか?贈与税でしょうか?所得税でしょうか?
・妻が相続税を支払う場合、2割加算の対象になるのでしょうか?
・長男は妻へ払った500万円を相続財産から控除できるのでしょうか?
???
いや~、難しい。
本シリーズは今回で一旦終了します。
ご拝読有難うございました。
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