投稿日:2016年8月3日
預金債権は「可分債権」と言って、遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始とともに当然に分割され、各相続人が法定相続分に応じて預金債権を相続します。(最高裁判決)
つまり、預金は遺産分割協議の対象ではないのです。
今「あれ?」っと思った方、多いのではないでしょうか。
だって、ほとんどの方が預金について相続人間で話し合い、その結果を「遺産分割協議書」に記載しますもんね。
銀行だって、相続人全員の署名実印がないと払い出し等に応じてくれませんし。
それが現実です。
実は、「預金は遺産分割協議の対象ではない」とは言うものの、当事者間で預金を遺産分割協議に含める合意があれば話し合って分けても特段問題ありません。
銀行は、後々のトラブルを恐れ、相続人全員の合意がないと手続きに応じないスタンスをとっています。
ですから、ほとんどの人は「預金は遺産分割が必要だ」と思っているのです。
ところが、「預金が遺産分割の対象になるかどうか」が争点となった審理について、最高裁第一小法廷が3/23付で審理を大法廷に回付しました。
これにより、過去の最高裁判決が見直される可能性が高まっています。
つまり、預金が遺産分割の対象になるかもしれないということ。
ややこしいですね。
ちなみに、定額郵便貯金は、郵政民営化の平成19年10月1日より間に預け入れたものは「不可分債権」、以降に預入したものは「可分債権」です。
現金は、預貯金よりも分け易いにも関わらず、「当然に分割されることはない(不可分債権である)」とされています。(最高裁判決)
不動産や動産同様、<物>だと判断されたようですね。
実際は、預金同様、遺産分割協議して分割しているのがほとんどだと思いますが。
まあ、どうでもいい話ですが、一応業界的には興味津々なネタでした。
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