投稿日:2017年7月19日
平成29年7月18日(火)、法務省の法制審議会の民法(相続関係)部会がまとめた試案が明らかになりました。
今朝の新聞トップはもちろん、業界的にもこの話題で持ち切りです。
明らかになった試案のうち自宅の部分を簡単に説明すると、
『婚姻期間20年以上である夫婦の一方が他方へ、
①自宅不動産を生前に贈与するか、
もしくは
②遺言で「自宅を遺贈する」と示した場合、
その自宅不動産を遺産分割の対象にしない(持戻し免除の意思表示があったとみなす)』
と言う改正案です。
つまり、
●自宅は妻に間違いなく相続させ、誰にも邪魔させない
●妻は自宅を除いた他の財産(例えばお金とか)について法定相続分を相続できる
ということです。
<贈与税の配偶者贈与>を意識しての改正だと思われますが、分からないのは
「夫が死亡し妻以外の者が自宅を相続した場合、妻が自宅に住めなくなる場ケースがある」
「自宅しか財産がない場合、遺産分割のため自宅を売却しなければいけないケースがあり、結果妻が自宅なしになってしまう」
ため、本試案に至ったと言われていることです。
えーーー?
自宅を相続した子が、母親を追い出したり、高額な家賃を徴収したり、なんてする?
自宅しか財産がない場合、分け前が欲しいからと母親を追い出して実家を売却する子いる?
妻だって相続人なんだから、嫌な予感がするなら印鑑押さず未分割のままにしとけばいいじゃない。
そうすれば共有財産なんだから、勝手に売却されることもないし、継続して居住し続けらると思いますが…。
自宅で暮らしていた妻が夫死亡に伴い自宅に住めなくなったケースなんて経験したことありません。
僕の経験なんで、世の中にはあるのかな…?
ところで、(詳細が不明なので何とも言えませんが)自宅の持戻しが免除されたとしても、
●遺留分を侵害する時は原則通り自宅が持戻しの対象になるのか、それでも対象外なのか
●婚姻20年以内に贈与した場合でも婚姻20年以上経てば対象になるのか、それとも婚姻20年経過後の贈与だけが対象なのか
どうなんでしょうね。
本試案に悪い印象はありませんが、この制度を活用した上で自宅以外の財産の分け方を話し合う際、先に自宅を確保した妻は不利とならないでしょうか。
法的には担保されるとしても、精神的には辛いかもしれませんね。
来月上旬からパブコメを実施し、その結果を踏まえ年内に要綱案をまとめ、来年の通常国会での民法改正案提出を目指すそうです。
この行方、目が離せませんね。
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