投稿日:2017年12月11日
実は、今年の夏から冬にかけ、今流行の「民事信託(家族信託)」について集中的に研究していました。
その理由は、
●何故、流行っているのか
●何故(一部の)税理士や相続コンサルの間では評判が今一つなのに、不動産業界中心に盛り上がりを見せているのか
●メリットばかり強調されているが、どこに落とし穴があるのか
を徹底的に洗い出し、自分の中できちんと「メリ/デメ」を整理したかったからです。
そのために、第一人者の司法書士、その弟子の行政書士、暖簾分け(?)司法書士をはじめ、信託に関する専門書を出している税理士等のセミナーや研修を片っ端から受けまくり、同時に専門書を読み漁り、実務経験豊富な関係者に食い下がり、貪欲に勉強しました。
ようやく自分の中でその答えが出ました。
良くも、悪くも、家族信託の根底にあるのは、現行民法(以下、広い意味で「相続法」と言います)の否定でした。
良くも、悪くも、です。
相続における家族信託は魔法です。
相続法を超え何でも出来てしまいます。
家族信託すれば、法定相続割合も遺留分も守らなくてOKです。(諸説ありますのでご注意下さい。)
「契約だから法律を超える」と言うのが推進派の方々の考えです。
つまり、今後争いがあるとするならば「法律と契約、どちらが強い(優先される)か」です。
その結論はまだ出ていません。
その魔法を、白い服着た“魔法使い”が使えば「薬」になり、黒い服着た“魔女”が使えば「毒」になる、使い道次第でどちらにも転ぶ、家族信託はそんな制度です。
ですから、「コンプラインス=決められたルールや法律さえ守っていれば問題ない」と考えている人が家族信託を積極的に推進していたら怖いですね。
(相続の奥深い実務を隅から隅まで知り尽くした)本物の相続コンサル、「人としてどうか」が行動規範だと考える人が、数ある選択肢の中から家族信託しかないと推奨するなら大丈夫かもしれません。
「信じられる第三者に財産を託す」のが信託の精神であり、その根本は<性善説>です。
委託者が「人がどこかで裏切る」「きっと違うことを言い出す」と思うのであれば信託は成立しません。
つまり、裏切らないことが確実視され初めて信託が成り立つのです。
いつか裏切りが発生するかもしれない案件に信託は馴染みません。
法施行から10年経ちましたので、これからが本番です。
いつか、任意後見制度のように良くないことが起こらないことを祈ります。
僕は是々非々ですね。
死ぬほど考えて、信託しかなかったら取り組みます。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE