投稿日:2018年6月12日
平成29年12月12日、国税不服審判所は、「法人が退職した元社員を被保険者として加入したがん保険の保険料を税務署が損金不算入とした事案」で、これを取り消し、「退職した元従業員分の支払保険料も損金算入できる」と判断しました。
<保険契約>
●終身がん保険(掛け捨て、満期返戻金なし、解約時に解約返戻金が法人へ支払われる)
●契約者=法人
●被保険者=従業員(退職者を含む)
●受取人=法人
<事案概要>
●法人は、退職者を含む支払保険料の全てを損金に算入していたが、税務署は「退職した従業員にかかる部分の保険料は法人の業務と関連性が認められない」と損金不算入の課税処分を行った。
●法人は、「福利厚生を目的としたものであり、従業員へ『退職した後も、5年間はがんに罹患した場合、受取保険金を原資に見舞金又は弔慰金を支払う』と採用時にも退職時にも説明しているし、規定にもその旨明記している」と主張した。
<国税不服審判所の判断>
①損金算入できる販売費・一般管理費等とは、その法人との業務との関連性を有し、かつ業務遂行上必要と認められるものでなければならない。
②本件は、福利厚生の一環として締結された契約であり、がん保険契約に係る退職者支払保険料は法人との業務関連性を有し、かつ業務遂行上必要と認められる。
③法人が受領した保険金及び解約返戻金は益金に算入されるものであり、そのために支払った保険料は収益獲得のために費消された財貨とも認められるため、この点からも損金算入が認められるべきである。
安易なコンサルティングは慎むべきと思いますが、「なるほど」と思わせる事案ですね。
また、「ここまでしっかりやっておけば大丈夫」的な見本とも言えます。
この事案から、何が駄目で、どうすれば良いか、しっかり学びましょう!
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