投稿日:2018年8月20日
以前、「公正証書遺言を作成したいのですが」と相談を受けた案件がありました。
「遺言執行時にアレコレいちゃもんつけてくる親族がいるため、公正証書遺言にしたい」とのこと。
相談してきたのは遺言者の姉、つまり遺言者は相談者の弟です。
弟は障がいを有しており、手帳を保持していました。
障がいと言っても、その程度は軽度であり、日常生活は自分一人で何とか出来るレベルです。
電車にも一人で乗れます。
しかし、重要な物事を判断したり、財産を管理したり、お金を動かしたりは苦手でした。
まず、遺言者である弟自身の意思を確認しなければいけません。
そこで、司法書士を紹介し、一緒に弟と面談しました。
その印象は、微妙…と言うか「知ってしまったら無理」のレベルでした。
何も知らないで会ったら普通の人と思ってしまったかもしれません。
短い時間、世間話する程度なら普通の人と変わりません。
しかし、財産の分け方や相続の話になると、すぐ姉の方を向き助けを求め、何度も同じ話しを繰り返し、質問と回答がチグハグ等、辻褄が合わない受け答えが始まります。
公正人に相談すべく、かかりつけ医の診断書を取得するよう助言した所、医師から拒否されてしまいました。
「診断書作成の趣旨が遺言作成なら、無理ですよ」と言われたようです。
「医学的見地から判断される障がいの程度」と「遺言能力」は別なので、出来るかもしれないし、出来ないかもしれない…気持ちとしては助けてあげたいけど…。
司法書士は「知ってしまったから、関与できない」と断りました。
専門職ですから、そりゃそうですよね。
僕は士業ではありませんが、グレーな取引に加担する訳にもいきません。
自分自身のスタンス、ポリシーに照らし合わせ…、断りました。
先日、相談者である遺言者の姉から、「その節はお世話になりました。無事、公正証書遺言作成出来ました。あの後、弟と1か月位受け答えの特訓した成果がバッチリ出て、公証人から何も言われませんでした。」と連絡がありました。
半分<相談に乗ってくれた御礼>
半分<あれこれ難しいこと言ってたけど、素人である自分達だけで普通に出来たよ。相続コンサルって大したことないね、的な見下し>
別に、断ったこと、今でも正しい判断だと思ってるので、そこはいいのですが…。
やっぱり作成できてしまいましたか…。
世の中の公正証書遺言には、このように作成されたものが数多くあるんです。
で、どうするか…が問題なわけです、ハイ。
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