投稿日:2019年12月4日
相続人には、認知された婚外子を含みます。
例えば、相続が開始になり、相続人は実子2人だけだと信じ遺産分割を成立させた後、認知された婚外子が登場したとします。(死後認知)
この認知された婚外子の相続分はどうなるでしょうか?
被相続人の財産は、不動産、金融資産、借入金、でした。
既に名義変更等の手続き済です。
ポイントとして、次のことが挙げられます。
①既に遺産分割が成立し名義変更等してしまっている財産をどう取り扱うのか?
②お金で精算する場合、いつの価格(評価額)となるのか?
③借金の承継割合はどうなるのか?
①既に遺産分割が成立し名義変更等してしまっている財産をどう取り扱うのか?
⇒既に遺産分割が成立している財産を元の状態に戻すことは混乱を生じさせるだけですので、実務上は、認知された婚外子が、相続分に応じた価格の支払いを実子2人へ請求するケースが多いと思います。
②お金で精算する場合、いつの価格(評価額)となるのか?
⇒「請求した時の時価」となります。
③借金の承継割合はどうなるのか?
⇒これについて、令和元年8月27日(火)、最高裁第三小法廷は「相続の開始後に認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは、民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は、当該分割の対象とされた積極財産の価額である。」と判示しました。
つまり、「消極財産である相続債務は(可分債務であり)認知された相続人を含む各共同相続人に当然に承継され、遺産分割の対象ではない。」と示したのです。
実際には<それ(借金=債務)を含めてどうするか>をまとめて話し合うことになると思いますが、押さえておきたい判例ですね。
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