投稿日:2020年4月2日
令和元年7月1日に改正された【遺留分制度】。
言葉が「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害請求」へと漢字2文字変わっただけ、なんて思ってると大間違いですよ!
特に注意しなければいけないのは、
<物権的請求権>が<金銭的請求権>へ変わったこと、です。
今回はそのことについて解説したいと思います。
今まで(遺留分減殺請求)は、遺留分権を行使された場合、遺留分を侵害した限度で遺産が共有状態になりました。
このことを<物権的効果>と言います。
つまり、遺留分減殺請求は、共有状態の遺産を分割する手続きだった訳です。
ところが、改正(遺留分侵害請求)により、遺留分権利者(請求する人)は遺留分義務者(支払う人)へ遺留分に相当する額の金銭請求しか出来なくなりました。
簡単に言ってしまえば<金銭債権化>したと言うことです。
つまり、遺留分侵害請求では、遺産は共有状態にならず「金銭の支払いだけで解決しよう」となりました。
お金があれば、支払ってしまえばいいだけの話です。
しかし、遺留分に見合うお金がなかった場合、どうなるでしょうか?
遺留分権利者(請求する人)と遺留分義務者(支払う人)が合意すれば、金銭に代えて現物(例えば、土地とか自社株等)で支払うことも可能です。
ところが、ここで問題が生じます。
それは税金です!
以前(遺留分減殺請求の時代)は、共有物の解消でしたから譲渡税の問題は生じませんでした。
ところが、改正後(遺留分侵害請求)は単なる金銭支払いに過ぎませんから、本来お金で解決しなければならない問題のところ、お金に代えて物で解決する=代物弁済として譲渡税の問題が生じてしまうんです。
考え方としては、遺留分を請求された人は、自分で土地等を売却し、譲渡税を払った残りの額で遺留分を請求してきた人へ対応(支払い)しなければいけない所、土地等を売却せずそのまま遺留分権利者へ現物を交付したのであれば、それは「その人へ売却した」と考えられるでしょ、だから譲渡税がかかりますよ、と言うことです。
その他、新事業承継税制(自社株の納税猶予制度)や小規模宅地等の特例等、遺留分侵害請求により「マジか!?」となる事態が起こります。
文字数の関係から詳しく説明できませんが、これからの相続対策は「いかにお金を作っておくか」が重要なテーマになります。
少しでも心配がある方は、早目に専門家へ相談しておきましょう。
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