投稿日:2020年6月29日
先日相続対策の相談に乗ったお客様の話し。
その方は、夫に先立たれた高齢のお母様です。
その方は、夫が加入していた生命保険の担当者を通じ、相続に強い税理士や不動産会社を紹介され、更にそこから司法書士を紹介され、総合的な相続対策提案を受けていました。
なぜ当社に相談に来たかと言うと、
ドンドン話が進んでしまうことに少し怖くなったお母様が娘に相談し、「だったら別の人の意見も聞いてみよう」となったから。
娘さんと塾生が知り合いだったため、塾生からの紹介を受け面談しました。
個別相談はお母様と、お母様の相続人である娘2人交え3人同席で行いました。
提案骨子はざっと次の通り。
①銀行からお金を借りて遊休地にアパートを新築する
②その際、資産管理会社を設立し、アパートは法人名義で建築する
③お母様が財産を長女へ信託し、長女が主体的に財産管理
④信託管理人は司法書士が担い、第三者の目でチェックする
⑤公正証書遺言を作成し、司法書士を遺言執行者に指定する
⑥お母様が新設法人の代表者に就任し、役員保険に加入する
⑦お母様の役員報酬を原資に、娘や孫名義の生命保険に加入する
驚いたのは、全員、提案、特にデメリットの部分を聞いていなかったこと。
美味しい所しか聞いていないような印象を受けました。
また、
●対策にかかる費用・報酬も聞いてませんし、
●費用対効果も理解していません
●完成形に到達するまでの時間も把握していません
●代替案との比較もされていませんでした。
そもそもスキーム自体を理解できていませんでしたし、望んでいる姿でもありませんでした。
これ、美味しいの…提案者ですよね。
●保険募集人…役員保険、娘や孫の生命保険、(もしかしたら税理士等からの紹介料、不動産会社からの紹介料、案件紹介実績)
●税理士…法人設立、毎年の決算、確定申告、(もしかしたら生命保険からのキックバック、不動産会社からの紹介料、保険やアパート契約に至るアシスト実績)
●不動産…アパート新築
●司法書士…法人設立、民事信託組成、遺言作成、(もしかしたら将来不動産売却に誘導するアシスト)
チームを組んでる人達にありがちなのは、仲間との協働を重要視し、チーム全員が利益を享受できることを一番に考えること。
チームの中心となる相続コンサルタントに求められる役割は、満遍なく利益が仲間内に行き渡るよう上手に絵を描くスキーム。
利益配分が偏ったり、上手く配分できなかった場合は、貸し/借りの関係を次に残し、別の案件で貸し/借りの関係を解消していく場合もあります。
つまり、「先日の案件で美味しい思いさせたから次回はよろしくね」的な感じですね。
どっちを向いて仕事してますか?
例え親しい仲間であっても、一番大事なのはお客様じゃないんですか?
お客様は貴方と貴方のお友達を儲けさせたくて相談しているのではありません。
自分達の将来を心配し相談しているのです。
☑借金して遊休地にアパートを建てれば目先の相続税は安くなるかもしれませんが、その先の事業運営大丈夫ですか?娘はそれで幸せですか?借金返せますか?
☑アパート1棟だったら法人化する方が高くつくし、面倒なだけです。
☑お母様は長女家族と同居しているし、二女とも仲良しですから信託なんて組む必要まったくありません。ましてや司法書士が第三者として介在する理由なんてありません。
☑相続させる遺言であれば遺言執行者は不要です。どうしても指定したければ長女にすればいいだけの話です。
☑お母様のお金は娘や孫に生前贈与すれば良く、もらったお金をどうするかはもらった側が考えることです。
当社にもパートナーである弁護士や税理士、司法書士、不動産鑑定士等の士業から塾生である生保、損保、FP、不動産、建築等、頼りになる知恵袋や親しい仲間が沢山いますが、コンサルティングの依頼を受けた場合、例え塾生からの紹介や士業の助けが必要であっても、依頼主であるお客様のことが第一です。
当たり前の話です。
お客様を向いて仕事しましょう!
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