投稿日:2021年8月16日
一口に「相続対策」と言っても、その方法は無限にあります。
例えば、「節税対策」だったら、生前贈与、アパート建築、マンション投資、生命保険の非課税枠、教育資金の一括贈与、小規模宅地等の特例の適用要件の整備など、言い出したらキリがないほど考えられます。
よく「どれがいいですか?」と聞かれますが、人それぞれ、正解なんてありません。相談者にとって一番負担が少なく、かつ効果が大きい方法を選択すればいいだけです。
ここで言う「節税対策」が<目的>です。
そして、生前贈与やアパート建築、生命保険などは<手段>です。
先日、「認知症 自宅の処分難題~家族信託などで備え~」という新聞記事を読みました。
●今後認知症を患う人が急増する。
●認知症を患っている人が保有する住宅が2040年には約280万戸になる。
●その解決策として家族信託の活用が有効だ。
という内容です。
この記事を読んで違和感を覚えました。
「最初から答えが決まっている記事」だと感じたからです。
認知症に伴う住宅処分だけを<目的>と考えたら家族信託(正式な名称は民事信託)は一つの<手段>として俎上に乗りますが、そもそもの<目的>は「認知症患者が急増する事態にどう対応するか」なはずです。
家族信託以外にどのような方法があるのか、記事では成年後見制度の問題点を挙げている程度で、その他の代替案については触れていません。
家族信託は一つの<手段>に過ぎません。
お客様を向いて仕事するなら、相談者にとって一番良い案を考えるべきです。良い案とは、相談者にとって負担が少なく、費用対効果が大きく、簡単で、相談者が理解できる案を指します。それを考えるのがコンサルタントの役割です。自分が売りたい商品を提案するのはコンサルタントではなく、セールスマンです。
最初から答えが決まっていたら、それは相談ではなく販売です。
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