投稿日:2021年11月3日
贈与には、「本来の贈与(民法上の贈与)」と「みなし贈与(税法上の贈与)」があります。
贈与者が「あげる」と言い、受贈者が「もらう」と言うのが「本来の贈与(民法上の贈与)」です。
贈与者の「あげる」と受贈者の「もらう」がない中で、受贈者に経済的な利益が生じた場合に贈与税が課税されるのが「みなし贈与(税法上の贈与)」です。
「みなし」とついていると言うことは、贈与ではないと言うことです。「本当は贈与じゃないけど、もらった側が利益を得ているのだから贈与と擬制し贈与税を課税しますよ」というのが「みなし贈与」です。
さて、親が加入した生命保険の契約者を親から子へ変更し、子がその一部を解約するという、生命保険を活用した贈与プランがあります。「親が認知症等を発症し贈与の意思を示すことができなくなっても毎年贈与できるので相続税対策になりますよ」というのが販売サイドの推奨ポイントです。
確かにこれは相続税法第5条に定められている「みなし贈与」ですから、税務上は、贈与税として処理されます。
では、民法上はどうでしょうか?
親の「あげる」という意思が、何らかの形で残されている(例えば遺言書等)のであればまだしも、何もない中で子が勝手に「みなし贈与」を行っていた場合、遺産分割時どのようなことが起こるでしょうか。
「相続税」と「相続」は違います。
言葉は似てますが、そこには大きなギャップがあります。相続対策は、そこを理解した上で講じなければ<絵に描いた餅>で終わります。
「みなし贈与」、要注意ですよ。
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