投稿日:2021年12月9日
令和3年12月3日(金)の新聞に、『国税、富裕層に「宝刀」多用~財産価値、再評価の例9件判明~』の記事がありました。
国税が定めたルール(通達)に沿って申告した所、「伝家の宝刀」総則6項が抜かれ高い税金を負担することになってしまったケースが増えていると言う内容です。
相続実務に携わる身としては、この問題を避けて通ることはできません。
記事では、
●合法な節税策について国税当局が「著しく不適当」とみなして財産評価を再評価した例が過去11年間に9件あった。
●税務の専門家が「伝家の宝刀」の適用件数が予想外に多いと驚いている。
と書いてあります。
確かに、言われてみれば「HOYA社長の相続事件」「中央出版創業者事件」「キーエンス創業者事件」、最近だと借金して賃貸不動産を購入した「札幌事件」及び「横浜事件」等、話題となった事案がたくさん頭に浮かびます。
そもそも、
☑節税はいけないことなのか?
☑租税回避と節税の線引きはどこにあるのか?
☑セーフとアウトの境目はどこなのか?
等、適用基準が曖昧なことが原因で現場に混乱を生じさせていることは間違いありません。
だって、国税が決めたルール(通達)で評価して申告したら、国税から駄目!と言われるんですよ。おかしいですよね。
「この人はセーフ!」「あの人はアウト!」と基準がブラックボックスな状態でジャッジされたのではたまりません。
同じ道を同じ速度で走っていたのに、前の車は通り過ぎて、自分だけがスピード違反でつまかったら、不公平だ!と怒りますよね。到底納得できません。
ですので、昔から専門家の間では「基準を明確にして欲しい」と言われていたのですが、その件数が増えている現状を踏まえると、いよいよ国税も何かしらの基準を示す必要があるのではないでしょうか。
とは言え、「伝家の宝刀を握っておきたい」という思惑もあるでしょうから、実際は玉虫色でお茶を濁すことになるのかなあ…。
節税に「絶対」とか「必ず」はありませんから、検討する場合は十分注意しなければいけませんね。
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