投稿日:2022年12月26日
「夫が死亡したのですが」と奥様から相談がありました。
故人の財産は自宅と金融資産だけで、「自宅を奥様が相続し小規模宅地等の特例「特定居住用宅地等」の適用を受ければ基礎控除額以内に収まるから相続税はかからないな」と思い、特例の適用を受けるために税理士を紹介することにしました。
その過程でちょっと気になり色々と伺った所、昨年、田舎にいるご主人の実家の母が亡くなっていたことが分かりました。
ご主人の父は20年前に亡くなっており、その際父の財産は全て母が相続したそうです。今回亡くなったご主人には弟と妹がいるのですが、元々あまり仲が良くなかったらしく、兄弟間の交流はほとんどないとのこと。ちなみにご主人の実家は東北で、広大な田畑や山林を有しているそうです。
???
ちょっと待てよ…ご主人の実家の母の相続はどうなってる?遺産分割は?相続税の申告は?
奥様は「主人からは特に聞いていませんが、何もしてないはずですよ。弟や妹とは話すのも嫌だと言ってましたし、主人は高校を卒業してからずっと東京なので田舎の土地に興味ないですから。」
危ない!…気付いて良かった…
この事案の場合、まず実家の母の相続を処理しなければいけません。そこが処理できないとご主人の財産が確定しませんから。
仮に10ヶ月以内に実家の母の相続が片付かない(遺産分割が成立しない)場合であっても、実家の母の財産総額だけは確定させ、その3分の1(法定相続分)をご主人の財産に加算して申告する必要があります。
そこに気付かず「ご主人の財産は自宅と金融資産だけ」と信じ手続きを進めていたら、(実家の母の遺産分割の結果次第では)過少申告となり余計な加算税(追徴税)や延滞税がかかってしまうところでした。
「相談者の発言の“裏”にある“隠れた問題”を見逃すな!」
「お客様の発言を言葉どおり受け取っているだけではコンサルタントとは言えません」
と、『34の発言から問題をキャッチ!トラブルの芽を摘む相続対策』(近代セールス社)に書いてありました。
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