ブログ「相続の現場から」

令和5年度税制改正は政治判断色が濃いような気が…

投稿日:2023年1月9日

『令和5年度税制改正セミナー』の資料を作成しながら「今回の税制改正はいつにも増して政治判断、政治決着が多いなあ」と思いました。

 

あくまで個人的な感想ですが。

 

既存の税制問題があったり、期限を迎えたり、時代に流れに合っていなかったりする項目見直将来を見据え新しい税制創設するのが税制改正なのですが、今回、税調が主張している内容が大綱に落とし込まれるまでの間に随分“政治寄り”になったように感じます。(今に始まった話ではありませんが。)

 

例えば、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」

 

年間所得1億円を超えると税負担率が低下し税負担軽くなっていく、いわゆる「1億円の壁」問題を解消すると言っていたのに、ふたを開けてみれば年間所得30億円を超える超高額所得者だけが狙い撃ちされた改正内容になりました。

 

 

報道によれば対象になるのは200人~300人だけだそうですから、間違いなく国税名簿を準備しているでしょうね。

 

「貯蓄から投資へ」を後押しするために、ボリュームゾーンである年間所得1億円~5億円の層に配慮したと言われていますが、結果として富裕層のボリュームゾーンの負担は軽いままになります。

 

格差の是正を助長する廃止の線が極めて濃厚だった「教育資金の一括贈与」「結婚・子育て資金の一括贈与」も、岸田政権の子育て・教育支援を重視する方針に反するとの政治判断から一転延長になりました。

 

相続税の負担を軽減させるために行われている暦年贈与を見直すと鼻息高かった贈与税の改正も、相続前贈与の加算期間7年延長されただけで、基礎控除額には手を加えられず、結局年間110万円以下であれば相続時精算課税制度を活用すれば今までよりも節税が容易になってしまいました。

 

その他、防衛力強化のためとは言え、企業に対し「賃金を上げろ」と言っているそばから「法人税を増税する」矛盾している改正もあります。

 

「人口を増やしたい」「子を産み育てる環境を整備する」と言って講じた策は「出産一時金の増額」ですから、それで効果があると本気で思っているのでしょうか?

 

政治的なことはよく分かりませんし、僕にできることは決まった改正項目について「どうすればいいのか」ですが、来月行う『令和5年度税制改正セミナー』では、この辺りの背景を交え詳しく解説したいと思っています。

 

【東京会場】2023年2月7日(火)14:00~16:30、詳細及び申込みはこちら

【大阪会場】2023年2月17日(金)14:00~16:30、詳細及び申込みはこちら

 

メールアドレスを登録

相続実務研修吉澤塾

  • 半年コース

1日コース

  • 一日集中講座
  • 事業承継一日講座
  • 民法改正一日講座

お客様・参加者の声

ブログ「相続の現場から」

相続診断協会

pagetop