投稿日:2023年4月12日
先日、国税が役員に支給した給与が過大であると処分した事案について、東京地裁が国側を支持した判決を下した裁判がありました。
この手の話しを聞くたびに、役員給与が過大か否かが同業他社の支給状況を見て判断されることに違和感を覚えます。
味噌等の製造・卸・販売会社が、役員3名に対し4期に渡り支給した役員給与の合計額は約23億円でした。同社がその全額を損金として申告した所、国税がうち約19億円が「不相当に高額な部分の金額」に該当するとして処分(損金計上なし)したことから争いになりました。
結果、東京地裁は国側を支持する判決を下しました。つまり、役員3名4期分の適正な役員給与の合計額は約4億円であり、1期1億円(平均一人2,500万円)ならば適正だと認められたことになります。
課税当局において役員給与が過大か否かを判定する場合、次の「実質基準」に照らして判断されます。
①役員の職務内容
②収益の状況
③類似法人の役員給与の支給状況
今回問題となった会社は、②収益の状況に照らし、売上が落ち込んでいる状況にも関わらず役員給与を増加させていたため不自然だと判断されました。
それはともかく、僕が納得いかないのは、国税が役員給与の適正額を類似法人を抽出する形で算定し、それを裁判所も合理的であると認めていること。
●なんで役員給与が同業他社と比べて「高い」「低い」と言われなきゃいけないの?
●役員給与って同業他社と似たような額にしないといけないの?
●利益や配当、給与は各社の営業や商品企画力など企業努力の結果であって、努力しない、成果を挙げていない同業他社の給与と比べられるのっておかしくない?
●そもそも同業他社の役員給与って調べようがないじゃん!国税は調べられるけど、フェアじゃないよね
日本人的な横並び意識が強すぎる…。
役員が高額な給与もらっていた場合、個人の所得税&住民税がMAX税率までいき、法人が負担する法人税などよりも税額は大きくなるのだから国税もそっちの方が嬉しいと思うのだけどなあ…。
取りあえず国と争っても勝てませんから(手続き上は)お役所の日の丸の言うことを聞いておくしかないのですが、これでは頑張ろうとする活力が生まれないのではないでしょうか?
何となく時代遅れな気が…。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE