投稿日:2023年6月30日
令和5年6月1日(木)、第2回「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」が開催されました。
令和5年度税制改正に明記された「マンションの相続税評価額の見直し」について、国は本気のようです。
今年1月30日(月)に第1回会議が開催されてから約4ヶ月ぶりの会合では、マンション評価見直しの方向性が示されました。
国税庁の調査説明によると、平成30年におけるマンションの相続税評価額と市場価格(時価)との乖離率は2.34倍もあるそうです。つまり、3000万円で売買されているマンションの相続税評価額は約1280万円と6割も低くなると言うこと。
別に違和感ありません。もっと低くなるかと思いました。都心一等地に限れば8割引きも珍しくありませんから。
一方、戸建て住宅の乖離率は1.66倍ですから、3000万円で売買されている戸建て住宅の相続税評価額は約1800万円と4割引き程度になります。
マンションの乖離率の大きさが分かりますね。
また、相続税評価額が市場価格(時価)の半額以下となっているマンションは全体の約65%もあるそうです。つまり、マンションの3分の2は時価の半額以下の相続評価額で相続できると言うことです。
マンションの相続税評価額と市場価格(時価)に乖離が生じる理由は、時価は建物の総階数や所在階の影響を大きく受けるのに、相続税評価額はほとんど影響を受けない、総階数が多いほど敷地利用権が小さくなるため都心立地であってもあまり地価の影響を受けない等色々です。
そこで、今回の有識者会議では、統計的手法を用いて、乖離要因と考えらる築年数、総階数、所在階、敷地持分といった指数から乖離率を予測し、現行の相続税評価額にその乖離率を乗じて評価する案が検討されたそうです。
今後、
●市場価格と財産評価基本通達による評価額とのかい離について、統計的分析に基づいて必要な補正を行う方向で検討してはどうか。
●上記の補正に当たっては、補正の程度について一戸建てとのバランスについても考慮するのが妥当ではないか。
●マンション評価の見直し後において、マンションの市場価格が急落した場合の対応については、他の財産におけるこれまでの取扱いも踏まえた検討が必要ではないか。
といった見直しの方向性を踏まえ話し合いが行われ、見直し案が固まれば、パブコメを経て通達改正が行われる見通しです。
令和6年以後の相続等から適用を目指しているようです。
長くなりましたので改正の詳細については別のブログで。
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