投稿日:2023年10月18日
政府の「資産所得倍増プラン」を推進するため、金融庁が、投資初心者向けに資産形成を助言する「中立的アドバイザー」の公認制度を創設しようと検討を重ねています。
令和6年中に設置される予定の「金融経済教育推進機構」が認定するらしいのですが、CFP認定者やFP1級保有者が対象となる可能性があります。
しかし、認定者が真に中立の立場なのかどうか…、ちょっと心配です。
現時点で金融庁が考えている認定要件は、
①金融商品販売会社と兼業していないこと
②金融商品販売会社から報酬を得ていないこと
の2つです。
つまり、独立系FPのイメージです。
金融商品販売会社と資産形成助言者は各々独立した立場にあるべき、という方針には賛同します。助言者が自分の稼ぎ(手数料)を第一優先に考え、資産形成とは別の観点から自分にとって良い商品を推奨することを防げるからです。
銀行や証券会社勤務の人は、勤務先から給与を得ている時点で上記①に抵触します。そもそも販売会社である銀行や証券会社と投信会社は親子だったり資本関係があったりとズブズブの関係ですから、存在として中立とは言えません。
では独立系FP会社勤務であれば中立かと言うと、IFAの人は金融商品販売会社から報酬を得ていますので上記②に抵触します。しかも顧客が購入した商品が自分の稼ぎにつながる訳ですから、顧客と商品、どちらを向いて仕事をしているかと言ったら…。
更に多くのIFAが保険募集人を兼ねており、投信よりも手数料率が高い生命保険を勧めるため(獲得するため)の手段としてIFAを名乗っている方もいます。
真に中立の立場で投資助言する人を公認する要件は簡単です。
①投資やライフプランに対する高い知識を有すること。(→資格取得、毎年研修受講、更新試験)
②相談者からの報酬しか得ないこと。
相続コンサルタントもバックエンド商品の販売による手数料で生計を立てている人がほとんどなので、中立の立場と言えるコンサルタントに会うことは(ほとんど)ありません。
僕は保険も不動産もIFAも扱っていないためバックエンド商品がまったくなく、特段威張れる資格も持っていませんから、「真に中立の立場である」と胸を張れますが、業界的には珍しいと思います。
ただし、生活のためには相談者からのコンサルティング報酬だけだとチト寂しい…のでセミナーや研修の講師を務めたり、執筆したりしている訳です。
「中立的アドバイザー」がどのような形で認定されるのか、要ウォッチですね。
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE