投稿日:2024年8月14日
令和6年7月21日(日)付の新聞に、『出生率「東京0.99」別の顔~独身女性流入が押し下げ~「改善」の地方は流出』の記事がありました。
この記事、面白いです。頭をガツンと殴られたような衝撃が走りました。
数のマジックに騙されちゃ駄目ですね。
今年6月に厚労省から発表された合計特殊出生率の全国平均は1.20で、東京都は0.99と全国平均を大きく下回り唯一1人を割り込んだ結果となっています。
この結果だけ見ると「東京都は少子化が進んでいる」と思ってしまいますが、実はそうではないんです。
というのも、合計特殊出生率は未婚を含む15~49歳の女性を分母とし、出生数を分子として計算されます。東京都には進学や就職で全国から多くの独身女性が転居するため、分母が大きく膨らみ、その結果出生率は低く出るのです。
2023年に東京都に転入した15~24歳の女性は7万2千人でした。転出を差し引くと約4万人の純増になります。つまり、転入がなければ東京都の出生率は1.0を大きく上回っていたはずなんです。
また、勉学や仕事に力点を置く人が東京に行く傾向が強いため、東京都における結婚や出産の年齢が高くなりがちな事情もあるそうです。
一方、地方は合計特殊出生率が改善している自治体が多いように見えるのも実は数字のからくりの結果なんです。
地方では、若い女性が都市に転出するため、分母となる女性の数が減り、その結果出生数が減っているにも関わらず出生率が改善したように見えてしまうんです。
大事なのは「数」であり「率」ではありません。
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