投稿日:2014年12月17日
先日、ホームページを見て「個別相談」を申し込まれたお客様の相談に乗りました。
お話を伺うと、「このままの状態で相続が発生したら先祖代々の土地が守れない、何か良い方法はないか?」という相談でした。
てっきり相談者自身の土地を守りたいのかと思ったら、実はまだ両親は健在で「すべての土地はお父様名義」とのこと。
じゃあ相談者は一人っ子で、最終的に全財産を相談者一人が相続するのかな?と思ったら、「子どもは全部で3人いる」とのこと。
ん?話が読めないぞ…何となく嫌な予感がする…相談者の意図はどこにあるのかな…このまま相談に乗って大丈夫かな…と思い、ご両親の意向や家族関係、兄弟の仲等について伺ってみた所、
「両親は相続対策に興味がなく、まともに話を聞いてくれない」
「父は、土地の一部を売却すれば相続税は何とかなるだろ、と言っている」
「子ども3人は不仲、皆離れて暮らしているため日頃コミュニケーションが取れない」
とのこと。
相談者は長男だったのですが、凄く真面目な方で、上場企業に勤務し、独自で相続に関する勉強をし、セミナーや研修会にも参加し、先祖が守ってきた資産を何とか減らさないよう、一生懸命努力されている方でした。
しかし、その一方で「長男である僕が全ての土地を相続するのが当たり前」と決めつけている所があり、家督相続的な考えを有していました。
更に色々と話を伺った所、今までの家族での話し合いの雰囲気や兄弟の発言等を勘案すると、どうやら相談者の知識が上であること、頭が切れること、弁が立つこと、人の話を聞かず自分の意見を押し通す性格なこと等を皆恐れ、相談者が財産に固執していることも手伝い、相談者が良かれと思って提案しても、皆相手にしない(したくない)様子が伺えました。
さて、困ったぞ…どう説明したら分かってもらえるかな…、と一瞬悩みましたが、「回りくどく説明しても時間の無駄になってしまうかもしれない」と考え、そもそも論から説明することにしました。
「財産は両親のものであり、あなたの財産ではありません」
「両親の意向が重要であり、両親が納得しない相続対策は出来ません」
「まずは親子でよく話し合って下さい」
「あなたが全財産を相続できると決まっている訳ではなく、“取らぬ狸の何とか”になっています」
「両親が遺言書を書かない場合、兄弟3人全員が遺産分割に合意しない限り相続手続きは終わりません」
と言った所、
「実は、僕が何をどう説明しても、家族は皆話を聞いてくれません。そこで、先生に何とかしてもらえないかと…」
つまり、『親を口説いて欲しい』『兄弟を納得させて欲しい』、という相談だったんですね。
これは「相続対策」の相談です。
「相続対策」について相談しようと思ったら、まず頭に浮かぶのが税理士、次に弁護士ではないでしょうか?
その通り、「税金」の問題なら税理士、「法律」の問題だったら弁護士に相談すべきと思いますが、「相続」の相談は誰に相談したら良いのでしょうね。
このように、「税金」や「法律」だけでは解決しない問題が山ほどあるのが「相続」です。
とりあえずこの相談者は「もう一度心を入れ替え、しっかり家族と向き合いたいと思います」と帰っていきました。
果たしてどうなることやら…。
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