ブログ「相続の現場から」

新聞の見方「M&Aと利益相反」そして不動産…

投稿日:2021年6月30日

令和3年6月28日(月)付の新聞に『中小M&A 仲介にルール~登録制や自主規制、悪質業者を廃除~事業承継など需要増』の記事がありました。

 

後継者不足の背景と、手数料を稼ぎたいプレイヤーの思惑が一致し、独立系から銀行証券会社等ますます盛り上がりを見せ活況を呈しているM&Aですが、悪質な仲介業者によるトラブルが急増しているようです。そこで、中小企業庁が近く仲介業者の登録制を導入し、また自主規制団体も発足するとのこと。

 

M&A仲介はいわゆる「両手取引」、つまり、売主買主双方から手数料を取る形態がほとんどです。記事によると、仲介業者が得る手数料最低でも取引価格の5%ずつ合計10%以上)だそうです。

 

これ、完全に利益相反ですよね。以前から指摘されていましたし、僕もずっとおかしいと思っています。

 

だって、1円でも高く売りたい売主と、1円でも安く買いたい買主の希望は完全に相反しますから、「一体どっちを向いて仕事しているのか!」となることは明らかです。M&Aの本場米国では訴訟リスクを避けるため、「両手取引」ありえない話しだそうです。

 

当事者言い分も分からないこともないです。「中小企業には経済合理性だけじゃ図れない個々の事情がある」「調整役が必要だ」…。そうかもしれません。

 

ですが、だからと言って利益相反して良いという話しにはなりませんよね。

 

実は不動産売買も同じです。売主買主双方から手数料を得る「両手取引」が認められていますから。これ、利益相反です。

 

民主党政権を取る直前に公表したマニフェスト「不動産取引は片手のみとする」と記載されていたこと、ご存知ですか?随分前の話ですし、業界強烈な反対に遭いあっという間に消えたので記憶にない方も多いと思います。

(僕は、支持している政党は特にありませんし、政治的な話にも一切興味ないのですが)当時「そうだよね」と思っていました。その後も「なんで誰も声を挙げないんだろう…」とずっと思っていました。

 

不動産M&Aと同じで「売り手と買い手双方の条件を調整する役割の仲介業者がいるから成約する」と言っています。そうかなあ…?価格等の条件すり合わせ売主買主それぞれ別につけた代理人同士で話し合えばでいいのでは?

 

売主だって買主だって、自分のためだけに頑張って汗かいてくれるから手数料を払うんでしょ。なんで相手方の顔色伺っている代理人お金を払わないといけないの???意味分かりません。

 

原告被告が同じ弁護士に相談し、受託した1人弁護士が互いの利益調整します?それをやるのは裁判官です。(裁判官調整ではなくジャッジですが)代理人は違うでしょ。

 

結局、M&A不動産も、根底にあるのは「やってなんぼ」です。

 

約定しない限り手数料は得られません。なので仲介業者にとって一番大事なのは「成約させること」です。売主の希望買主の希望を曲げてでも、手を変え品を変え、言葉巧みに理由をつけ、何とかしてとにかく約定させる、じゃないとお金が入ってきませんから。

 

「顧客の利益<自分達の儲け」、こうなったらおしまいです。

 

僕は個人的にも仕事的にも「両手取引」する業者とは付き合わないことにしています。相手方に仲介業者がつかず、どうしても双方代理せざるを得ない状況となった場合、相手方から手数料を取らせません「お金を払っている人=顧客」ですから、顧客を向いて仕事してもらいます。もし相手方から手数料を取っていることが分かったら、その時点で出禁です。

 

スッキリ気持ちよく仕事したいですね。

 

メールアドレスを登録

相続実務研修吉澤塾

  • 半年コース

1日コース

  • 一日集中講座
  • 事業承継一日講座
  • 民法改正一日講座

お客様・参加者の声

ブログ「相続の現場から」

相続診断協会

pagetop