投稿日:2021年9月6日
2021年4月28日に成立した「民法」及び「不動産登記法」の改正の中で、「司法書士にとって追い風となるのでは」と言われている項目がいくつかあります。
1つ目は、不動産の住所や氏名が変わった場合、2年以内に変更登記を行わなければならなくなること。
現在は不動産の所有者に住所や氏名の変更があっても登記を変更する義務はありませんが、改正法が施行された場合、変更登記しなければならなくなります。しかも、この改正は過去に変更があった人にも遡及して適用されますので、「婚姻前に不動産を取得していて、婚姻後に姓が変わった」「転居した」「転勤となった」等の人にも変更登記の義務が生じます。
2つ目は、相続により不動産を取得した場合、3年以内に所有権移転登記(相続登記)を行わなければならなくなること。
現在は相続登記が義務化されていないため、故人名義のままとなっている不動産がたくさんあります。改正法が施行された場合、相続登記が必須になり、しかも(住所や氏名の変更登記同様)過去に遡及して適用されますので、「昔おじいちゃんが亡くなりそのままの名義になっている田畑」についても相続登記の義務が生じるのです。
どちらも正当な理由なく登記を怠った場合、過料に処せられます。
これらの登記は、自分で手続きすることもできますが、あまり馴染みのない資料を揃えたり、ある程度専門知識が必要なため、ほとんどの人が司法書士に依頼するのではないかと考えられています。そのため(実際に改正法が施行されるのはまだ少し先の話しですが)「司法書士にとって追い風になる」と言われています。
しかし、果たして本当にそうなるでしょうか。
と言うのも、当事者が簡単に手続きできるよう、自ら法務局に申請すれば、登記官が住基ネットに照会し変更登記を行うという簡便な仕組みが検討されているからです。
相続登記には相続人全員の署名押印や戸籍フルセットが必要なので、当事者だけでは前に進まず、司法書士や弁護士などの専門家に相談するケースが多いと思いますが、住所や氏名の変更登記は司法書士などに依頼しなくても簡単にできるようになるかもしれません。
具体的な手続きの詳細が明らかになるのはこれからですので、行方を見守りたいと思います。
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