投稿日:2015年3月23日
本日平成27年3月23日(月)付の日経新聞に『子育て贈与 無料代行 信託4行、新商品』の記事がありました。
記事は、平成27年度税制改正で創設された「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設」に対応する新商品を信託銀行が投入する、といった内容です。
以前にもこのブログで書いたのですが、そもそも「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象となりません。」と国税庁も言っています。
信託銀行も、長年にわたる面倒な手続きを代行し、資金が長期的に塩漬けとなり、残高は確実に減っていき、この商品単体では儲けはないはずで、本来ならば避けて通りたいはず。
しかし、「教育資金の一括贈与」同様、信託銀行はこの制度を積極的に推進しています。
何故でしょうか?
それは、高齢の富裕層取り込みに有益だからでしょう。
数百万円単位で贈与を行う人は、世間的には裕福な世帯と言え、その方達に口座を作成してもらえば、遺言信託や遺産整理、不動産取引、まとまった資金運用等、その他で十分メリットが取れるからです。
単に口座数を増やすのと異なり、魚影が濃い先の漁場を新設することが出来るので、ビジネスとしては大変美味しいと思います。
「教育資金の一括贈与」は即効性がありますので、相続税対策としては「あり」でしたが、「結婚・子育ての一括贈与」は使い残しがあるとフルに相続税の課税対象になってしまうので、相続税対策にはなりません。
と言うか、何がいいのか、今一つピンと来ないんです。
だって「まとまったお金を最初に渡してしまったら、子や孫との関係が疎遠になってしまった」という声が多数寄せられているからです。
だったら、都度、贈与若しくは援助していく方が、よっぽど健康的だと思いますが。
「教育資金の一括贈与」は祖父母から孫への資産移転、「結婚・育児の一括贈与」は親から子への資産移転は促すため、と言われていますが、国や信託銀行の思惑に乗っかる必要はないと思います。
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