投稿日:2020年7月5日
新型コロナウイルス感染症拡大の影響による地価下落、不動産取引低迷を踏まえ、国税庁が検討している路線価の減額措置の概要が明らかになりました。
①広範囲な地域で地価が概ね20%以上下落した場合、路線価の減額修正措置を検討する
②その場合、財産評価基本通達を改正する
③適用になるのは令和2年1月1日以降の相続・遺贈から
④まず、10月に令和2年1月から6月までの補正率が発表される
⑤1月に発生した相続等は申告期限まで時間がないので申告期限が延長される可能性あり
⑥令和2年7月から12月までの補正率が発表されるのは令和3年になってから
下落の確認対象となる「地価」とは、9月末に発表される<7月1日付基準地価(都道府県地価調査)>です。
基準地価が20%以上下がらなければ、路線価はそのままと言うことになります。
路線価は1月1日基準ですので、その時点では新型コロナウイルスの影響を受けていませんから高いままです。
しかし、路線価は公示価格の約80%の水準になるように定められていますので、地価下落が20%以内であれば、それは“想定内”と言うことになり、原則として路線価の減額修正はありません。
「広範囲」とは具体的にどの程度のエリアを指すのか?都道府県単位?市区町村単位?もっと狭いエリア?が分かりませんが、恐らく全国一律で減額補正率が付されるのではなく、昨年の台風19号同様、影響があった(20%以上下がった)エリアだけに減額補正率が適用されると思われます。
適用になるのは今年1月1日以降の相続等ですから、新型コロナウイルスが本格化した3月以降ではありませんのでご注意ください。
かわいそうなのは、昨年末に相続が発生し、今年不動産を売却し相続税を納税しようと考えていた方。路線価は昨年ベースなので高い、なのに売却しようと思ったら安い、最悪路線価よりも低い価格で売却せざるを得ないかもしれません。「相続税は点である」が痛感できる事態ですね。(この場合どうすべきか、これを考えるのが相続コンサルの仕事です。色々あるよ~。)
尚、10月に発表される減額補正率は今年の1月~6月(つまり前半)だけですので、7月以降に発生した相続等についての減額補正率は年明けまで待つ必要があります。恐らく、地価動向が不透明なため、1年を通じての補正率ではなく、前半と後半に分けて別の補正率とすることで「より実態に近い数字である」と様々な批判を抑えたいのだと思います。
今年発生した相続に携わっている方、ご注意を!
© 2014-2024 YOSHIZAWA INHERITANCE OFFICE