投稿日:2021年1月5日
毎年恒例の税制改正、令和3年度は<相続・事業承継>関連項目がパッとしないので個人的にはやや寂しいのですが、それでもいくつか実務上押さえておかなくてはいけない項目がいくつかあります。
そのうちの一つが「教育資金の一括贈与」の見直し。
平成25年4月に創設された比較的新しい制度ですが、本来の主旨とは異なり相続税の節税目的として富裕層が活用していると言う批判を受け、廃止すべきと言う意見が多かった中、とりあえず今回は2年延長となりそうです。(まだ国会通過前の大綱段階なので、今の時点では一応「なりそうです」です。)
制度創設当時は、とにかく本制度を活用し孫や曾孫に贈与しておけば節税になりました。使い残しがあっても、相続開始前3年より前に拠出していれば相続税には関係ありませんでしたから。(平成31年3月31日までは相続開始直前に拠出しても、使い残しは相続税に関係ありませんでした。)
僕の最高額は孫6人へそれぞれ1,500万円ずつ、計9,000万円を一度に拠出した方。その方の相続税の限界税率は40%でしたので、9,000万円×40%=3,600万円が一瞬にして節税になり、かつ子は自分の子の教育資金が浮きましたので間接的に資産移転も完了。皆さんお医者さん一族でしたので、一人1,500万円は使い切るでしょうね。果たしてこのような方のための制度なのか疑問ですが、見事に“はまった”事案ですね。
今回の改正により、
①使い残しがあれば拠出時期に関係なく全額相続財産に加算される
②相続人ではない孫や曾孫は相続税2割加算の対象
となりますが、適用されるのは令和3年4月1日以後に拠出した財産からなんだそうです。
と言うことは、令和3年3月31日までに拠出すれば旧制度が適用…。
駆け込み拠出、ありそうですね。
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