投稿日:2021年11月17日
令和3年11月3日(水)付の新聞に、『事業承継「後継ぎ娘挑む」~父への提案、準備の徹底と期限設定』の記事がありました。
事業承継に直面した中小企業の実態に迫る連載の一つですが、今回取り上げられた石坂産業株式会社の話しは、事業承継スキームがどうのこうのではなく、父のスタンス、子の考え方、どちらも人として素晴らしいなあと思いました。
石坂産業はいわゆる産廃業者です。「ゴミを資源に変える取り組みに挑む」と言っても、周囲の目は産業廃棄物処理会社と見ているでしょう。
そんな会社を娘が継ぐと言うだけでも驚きなのですが、娘が入社し父に提案しても資料すら見てもらえず否定されます。最初の段階で、父からの「なぜそれをやるのか?」を説明できないからです。
娘は反省し、事前準備を徹底してから提案します。すると父は頭ごなしに却下することはなくなります。それからは、期限を決めて宣言する等、娘自身が自分を変えて動くようになり、最終的に会社を任せてもらえたのです。
親子だと甘えがあったり、逆に言いにくかったり、会社を運営するためとは言え難しい場面が少なくありませんが、石坂産業の親子は、父と娘を超え、人間対人間として互いに相手の立場や会社の将来を考え、娘は「どうしたら突破できるのか」、父は「どうしたら周囲から後継者として認められるのか」を追求しつくした雰囲気が伝わってきます。
事業承継と言うと、株価対策、節税、会社法、種類株、M&A等について、弁護士、税理士、金融機関、コンサル会社等が競ってかっこよいスキームを提案する世界のように取り沙汰されますが、結局最後は人の問題なんですよね。
物事が上手くいかない時、相手を責めるのではなく自分を変えてみる。
口に出すのは簡単ですが、いざやろうと思ったら余計なプライドや感情が邪魔して、思うようにできません。
大人って難しいですね…。
とても勉強になる記事でした。
*写真は本文と関係ありません。
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