投稿日:2022年10月31日
令和5年度税制改正に向け政府及び与党で議論が進んでいる相続税及び贈与税について、政府税制調査会(政府税調)に設置された「相続税・贈与税に関する専門家会合」で気になる意見が出ています。
それは、中間的な課題として相続税の課税方式を見直すべきと言う意見が出ていること。
現行の「法定相続分課税方式」を「遺産取得課税方式」への見直すのが望ましいとの意見が相次いでいるようです。
この議論、いつか復活すると思っていましたが、やはり出てきましたね。
昔、麻生さんが総理だった平成20年に自民党が税制改正大綱に「相続税の課税方式を遺産取得課税方式に変更する」と明記し、結局(反対意見に押され)法案が取り下げられた経緯があります。
その後、令和3年度税制改正で議論が復活し今に至る流れがありますから、政府及び与党としてはいつかは実現させたい重要課題なんだと思います。
現行の「法定相続分課税方式」は、誰がいくら相続するかは置いといて、
①まず、法定相続人が法定相続割合に応じて遺産を相続したとして税率を適用し相続税額を算出し
②次に、①の合計額である相続税総額を出し
③最後に、②で算出した相続税総額を遺産分割により取得した遺産割合に応じて按分し、各相続人の負担すべき相続税額を算出する
方式です。
つまり、遺産分割がどのような結論になったとしても相続税総額は変わりません。
これに対し「遺産取得課税方式」は、上記①②を行わず、いきなり遺産分割を行い、その結果により取得した財産額に応じ適用となる税率を乗じて相続税額を算出する方式です。
つまり、遺産分割次第で相続税総額が異なる結果となるのです。
改正された場合、シンプルに「たくさん相続したら相続税が高くなる、少ししか相続しなければ相続税は安い」となりますので、分りやすくなると思えますし、担税力の観点からも理にかなっていると思いますが、農家や同族会社のようにある程度後継者がまとまった財産を相続せざるを得ない人にとっては辛いでしょうね。
そこを救うために「納税猶予制度」が創設されたのですが、平成20年度税制改正では、明記された遺産取得課税方式への改正は見送られ、自社株の納税猶予制度だけが成立してしまったと言う???の結果となってしまいました。
さてさて、どうなることやら。
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