投稿日:2022年11月21日
先日ある税理士から「顧問先に不動産業者や保険募集人を紹介し、取引が成約した場合、紹介料名目の手数料を得ている税理士がいるが、これは問題だと思っている。」と言う話しを聞きました。
その先生は「税務に関する実務の遂行、税の専門家として顧問先に寄り添う姿勢こそが税理士に求められる姿の全てであり、それ以上でもそれ以下でもない。」との考えを貫いていらっしゃします。
先生の意見は次の通り。
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顧問先から顧問料をもらい、顧問先のために働くべき税理士が、顧問先に必要のない、顧問先が特段望んでいないにもかかわらず、不動産取引や保険販売が成立することにより得られる自らの手数料を目的として不動産業者や保険募集人を紹介することは利益相反である。
万が一その取引により顧問先が損を被った場合(例えば、取得した不動産の価値が下落した、法改正等の影響により期待した効果が得られなかった、解約したら損が出た等)でも、自らは何ら損を被ることなく、もらった手数料を返還する訳でもなく、利益だけを得ており、まさにそれは顧問先に対する背任行為と言える。
百歩譲って、顧問先からの要望に応じ、それが顧問先のためになることだと判断し、顧問先に対し予め「貴方が不動産を購入したり、生命保険に加入した場合、私はこれ位手数料がもらえるんです。」と説明した上で紹介するのであればまだしも、その場合であっても、その後何らかの問題が発生した場合、道義的な紹介責任は逃れられないはずだ。
税理士は何を業とする仕事なのか、何についての専門家なのかをわきまえた上で実務に取り組む姿勢が重要である。
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耳が痛い税理士も多いのではないでしょうか。
確かに、どちらが本業なのかと疑うくらい不動産業者や保険募集人とつるんでいる税理士も見かけます。
僕が長年勤務した銀行を退職し今の仕事に就き一番楽になったことは、「お客様(お金を払って下さる方)だけを向いて仕事ができる」ようになったことです。
お客様ファーストと謳いながら給与を払ってくれる会社を向く、お客様のためにと言いながら評価者である上司を向く、この矛盾から解放されたことです。
(税理士に限らずどの仕事も同じだと思いますが)対顧の仕事を行う以上「どこを向いて仕事をするか」が一番重要だと思います。
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