ブログ「相続の現場から」

相続の現場から『自分中心の司法書士』

投稿日:2023年1月20日

ある地方の方から「父が死亡したのですが」と相談がありました。

 

お亡くなりになられたお父様90歳半ば、相続人は92歳の奥様子ども2人(息子と娘)の合計3人です。相談者長男遺言はありません。

 

相続財産は田舎にある田畑と老朽化した自宅、そして金融資産だけでしたので、どう計算しても相続税はかかりそうにありません。

 

相続人の仲良好であり、遺産分割はどのような案でも受け入れると言っています。ここまで聞くと何も問題ないように思えます。

 

では、なぜ僕に相談があったか言うと、親戚の司法書士「お母様に全ての不動産を相続させ、実家近くで暮らす長女に金融資産を相続させましょう。次にお母様が亡くなったら長女が相続した金融資産を含め、田畑や実家不動産等全ての財産を子2人でどう分けるか話し合うのがいいと思います。」と言って署名・実印が必要な書類をを持ってきたのですが、本当にこの案がいいでしょうか?と言う意見を聞くため。

 

???

 

田畑は何年も前から休耕状態で、今後農業に携わる人はいないそうです。90歳を超えたお母様田畑を相続しても、休耕状態が続くだけで、近い将来二次相続が発生するのは明らかです。

 

百歩譲ってお母様農業従事者であれば田畑お母様が相続する手もあるし、お母様安心して暮らせるように又小規模宅地等の特例の適用を受けるために自宅お母様が相続する手もありますが、農業は何年も前から行っていない、今後も行う予定はない、相続税はかからない、しかも二次相続が近いと予想される状況で不動産を全てお母様に相続させる意味はどこにあるのでしょうか?

 

司法書士が2回分の報酬を稼ぎたいだけに思えます。

 

しかもよく話を伺ってみると、お母様認知症らしいのです。と言うことは程度によっては遺産分割できません。司法書士としてそのことを知った上で遺産分割協議書を取りまとめようとしているのなら大問題です。

 

仮に遺産分割できたとしても、その後田畑処分する等の行為が生じた場合、所有者がお母様だと色々面倒が生じます。

 

長女が相続した金融資産二次相続再度遺産分割の対象にするって意味が分かりません。気持ちの上で参考にするのなら分かりますが、法的な遺産の対象にはできません。精神論法律論グチャグチャです。

 

親戚である司法書士良かれと思って言っているのか知識がないのか分かりませんが、少なくても資格を有する人間ですから、もっと真剣に取り組まないと。真面目助言しているのであれば明らかに勉強不足です。

 

たまたま相談者吉澤塾の塾生と接点があり、セカンドオピニオンの意見を聞いてみたいと僕に相談してくれたので事なきを得ましたが、何も知らない一般の方にとって「士業の肩書を有する人は何でも知っている専門家」ですから、助言を信じ言うことを聞いてしまうでしょう。

 

無知は救われない。

 

厳しい言い方ですが、その通りです。親戚だろうが親友だろうが、大事なことを決める時分からないことを判断しなければいけない時は、その場で回答せず別の人に聞いてみる習慣をつけましょう。

 

自分の身を守れるのは自分だけですよ。

 

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