投稿日:2023年2月5日
事実婚、内縁、愛人…色々な言い方がありますが、要するに婚姻していない(入籍していない)カップルと戸籍上の夫婦との間にどのような差があるのかご存知ですか。
夫婦別姓問題により入籍せず事実婚を選択する夫婦(と言って良いのか分かりませんが)もいますので、何ができて、何ができないのか、しっかり押さえておきましょう。
尚、話がややこしくなるので、LGBTは横に置いておきます。
①事実婚が一番不利なのは「相続」でしょう。事実婚の配偶者には相続権がありませんので、パートナーが死亡しても何も相続できません。遺言があれば相続できますが、相続権を有する相続人から遺留分を請求される可能性があります。寄与分もありませんのでパートナーを一生懸命介護等しても報われません。パートナーに相続人がいない場合、特別縁故者として相続できる可能性はありますが、そこに至る道のりは平坦ではありません。
②次に事実婚が不利なのは「税金」だと思います。事実婚では所得税や住民税において「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が認められませんし、相続税における「配偶者の税額軽減」、贈与税の「配偶者控除(おしどり贈与)」もありません。仮に遺贈により財産を相続できたとしても、負担する相続税額は2割増しになります。
③社会保険は事実婚と法律婚が同様に扱われますので、パートナーの年収が130万円未満であれば健康保険の被扶養者になることができます。但し、会社によっては健康保険組合から事実上の夫婦であることの証明を求められますので、何らかの証拠が必要です。
④事実婚であっても遺族年金を受領することができます。但し、正妻がいる場合「被相続人に生計を維持されていたのはどちらか」が問題になりますのでご注意下さい。
⑤医療・介護の場面でも事実婚だと面倒が生じる場合があります。医療行為に関する同意書、保証人等、戸籍上の親族ではない場合、医療機関によっては認めてもらえない可能性があります。
⑥保険金の受取人について「原則配偶者及び2親等以内の血族」と規定している保険会社が多いのですが、事実婚でもパートナーとして受取人に指定できる保険会社も増えてきました。但し、事実上の夫婦であることを自ら証明しなければいけませんので、手続きは若干面倒です。
⑦銀行や証券会社等の金融機関の手続きも事実婚だと面倒です。相続権がないので、簡単には残高証明書や取引履歴を取り寄せできませんし、そもそも取引があるのか否かも回答してくれません。もちろん、法的に財産を承継することが決定した客観的な証明がない限り名義変更や解約にも応じてくれません。
こんなはずじゃなかった…となる前に、しっかり考えておきましょう。
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