投稿日:2021年7月9日
令和3年7月1日(木)付の新聞に『相続土地、処分なお難しく~国の引き取り制度、利用1%見込み~空き家 民の知恵で活用を』の記事がありました。
令和3年4月28日に公布された「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」。
相続は、「全部相続する(単純承認)」か、「何も相続しない(相続放棄)」しかありません。「自宅やお金は相続するけど、田舎の山林は相続しない」なんて都合のよい制度はありません。
ところが、今回の法改正により、一部の財産のみ相続しないと言う“選り好み”ができることになります。つまり、「自宅やお金だけ相続し、田舎の山林は相続しない」ことが可能になります。
と聞くと、「そりゃいい話だ!」となりますが、果たしてそんな美味しい話になるのでしょうか?
実は、法律をよく読むと、
●このような土地は(国庫に帰属させる承認を)申請できない
●このような土地は承認されない
例がいくつも書いてあります。
代表的なものをいくつかピックアップしてみると、
建物がある、他の人の通路となっている、土壌汚染がある、境界が明らかでない、崖、車両や樹木がある、地下有体物がある、管理処分に費用や労力を要する…
ね、誰も欲しくない(使い道に困る)土地は国は取ってくれないことが分かるでしょ。
つまり、国が引き取ってくれるのは、利用価値のあるまともな土地だけです。
国庫に帰属させるためには審査手数料と10年分の管理負担金を払わなければいけません。
売却しようと思ったら売れる土地を、わざわざお金払って国にタダであげる人、います???
売れないし、使えないし、いらない土地だから引き取って欲しいんですよね。売れる土地だったら普通に売却してお金に換えますよ。
ところが、売れないし、使えないし、いらない土地は国もいらない…。
なので、この制度を利用する人は相当低い(1%切る)のではと言われています。
法律は公布から2年以内の2023年4月28日までに施行されます。
果たしてどの程度の利用になるのか、そのうち条件が見直されるのか、行方を見守りたいと思います。
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